カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
232 / 451

51.聖女からの宣戦布告-4-

しおりを挟む










 王妃と侍女が酵母を登録した者を王宮に呼び寄せようと話を交わしている頃





 「何と美しい・・・。私こそ神が作り給うた最高傑作・・・」

 自分以外に聖女のマリカに相応しい男がいるだろうか?

 いや、いない

 侍女が選んだ服───典型的な王子様装束に身を包んだエドワードが鏡に映る自分の姿にうっとりとした声を上げる。

 「何だ、これ?」

 そんなエドワードであったが、顔に赤い斑点が出ている事に気付く。

 自分は幼い頃に麻疹に罹ったはずだ。

 ポーションでも飲めばすぐに治るだろうと思ったエドワードは侍女にポーションを持ってくるように命じる。

 待つ事暫く

 「失礼いたします」

 エドワードの命令で侍女がポーションを持ってきた。

 侍女に労わりの言葉をかける事なく盆に乗っているポーションを手にしたエドワードは一気に嚥下する。

 これで治ったはずだとエドワードは鏡に映る自分の顔を見たのだが───斑点はそのままだった。

 「もしかして、不治の病に罹った!?」

 救国の英雄は美人薄命という宿命から逃れられないのか!

 これも私の運命・・・

 エドワードはオーバーリアクションをしながら我が身の不幸を嘆く。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 エドワードがポーションを飲んでも発疹が消えていない我が身の不幸を嘆いている頃





 「な、何これ!?」

 顔だけではなく身体に腫瘍が出来ていたものだから茉莉花は髪を振り乱しながら悲鳴を上げる。

 「聖女様、どうかなさいましたか!?」

 どんなに給料が高くして貰っても、あんな傲慢で高飛車、人を人とは思わぬ聖女の面倒など見たくない!

 しかし、今の自分は聖女付きの侍女だ。

 仕事は仕事としてきちんとこなさなければいけない。

 そんな事を考えつつ茉莉花の悲鳴が耳に入った侍女が慌てて彼女の元に駆け寄った。

 「せ、聖女様?!」

 茉莉花の顔を目にした途端、彼女は腰を抜かしてしまう。

 (こ、これは・・・!)

 「こ、国王様!王妃様!」

 聖女が性病に罹っている事を告げるべく、侍女は引き攣った悲鳴を上げながら部屋を出て行ってしまった。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】薔薇の花をあなたに贈ります

彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。 目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。 ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。 たが、それに違和感を抱くようになる。 ロベルト殿下視点がおもになります。 前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!! 11話完結です。

聖女の姉が行方不明になりました

蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?

仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。 そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。 「出来の悪い妹で恥ずかしい」 「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」 そう言ってましたよね? ある日、聖王国に神のお告げがあった。 この世界のどこかに聖女が誕生していたと。 「うちの娘のどちらかに違いない」 喜ぶ両親と姉妹。 しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。 因果応報なお話(笑) 今回は、一人称です。

処理中です...