カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
232 / 427

51.聖女からの宣戦布告-4-

しおりを挟む










 王妃と侍女が酵母を登録した者を王宮に呼び寄せようと話を交わしている頃





 「何と美しい・・・。私こそ神が作り給うた最高傑作・・・」

 自分以外に聖女のマリカに相応しい男がいるだろうか?

 いや、いない

 侍女が選んだ服───典型的な王子様装束に身を包んだエドワードが鏡に映る自分の姿にうっとりとした声を上げる。

 「何だ、これ?」

 そんなエドワードであったが、顔に赤い斑点が出ている事に気付く。

 自分は幼い頃に麻疹に罹ったはずだ。

 ポーションでも飲めばすぐに治るだろうと思ったエドワードは侍女にポーションを持ってくるように命じる。

 待つ事暫く

 「失礼いたします」

 エドワードの命令で侍女がポーションを持ってきた。

 侍女に労わりの言葉をかける事なく盆に乗っているポーションを手にしたエドワードは一気に嚥下する。

 これで治ったはずだとエドワードは鏡に映る自分の顔を見たのだが───斑点はそのままだった。

 「もしかして、不治の病に罹った!?」

 救国の英雄は美人薄命という宿命から逃れられないのか!

 これも私の運命・・・

 エドワードはオーバーリアクションをしながら我が身の不幸を嘆く。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 エドワードがポーションを飲んでも発疹が消えていない我が身の不幸を嘆いている頃





 「な、何これ!?」

 顔だけではなく身体に腫瘍が出来ていたものだから茉莉花は髪を振り乱しながら悲鳴を上げる。

 「聖女様、どうかなさいましたか!?」

 どんなに給料が高くして貰っても、あんな傲慢で高飛車、人を人とは思わぬ聖女の面倒など見たくない!

 しかし、今の自分は聖女付きの侍女だ。

 仕事は仕事としてきちんとこなさなければいけない。

 そんな事を考えつつ茉莉花の悲鳴が耳に入った侍女が慌てて彼女の元に駆け寄った。

 「せ、聖女様?!」

 茉莉花の顔を目にした途端、彼女は腰を抜かしてしまう。

 (こ、これは・・・!)

 「こ、国王様!王妃様!」

 聖女が性病に罹っている事を告げるべく、侍女は引き攣った悲鳴を上げながら部屋を出て行ってしまった。











しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

明太子

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

飽き性

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:0

おちゃめなふたご

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:0

どうやら今夜、妻から離婚を切り出されてしまうようだ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:62,800pt お気に入り:850

最善のカタストロフィ

ホラー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:0

一夜限りの関係

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:319pt お気に入り:4

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:362pt お気に入り:7,323

処理中です...