カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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51.聖女からの宣戦布告-2-

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 『エドワード様ぁ~♡あたしの家庭教師になった何とかというおばさんが、純粋無垢で清楚可憐な聖女であるあたしに嫉妬して虐めるのぉ~』





 悲劇のヒロイン的なオーラを纏って泣きついてくる茉莉花の言い分だけを鵜呑みにしたエドワードは、王妃の命令で聖女の教育係となっていた件の高位貴族夫人を人前で怒鳴りつけた上で解雇したのだ。

 話を聞いた王妃は、聖女から見て母親のような年齢の女性ではなく祖母のような年齢の高位貴族夫人に教育を頼んだのだが、王太子妃が何なのかを理解していない茉莉花はエドワードに『どこかの貴族の偉そうなおばあさんが若くて可愛い天使のように純粋な聖女のあたしが憎いから何かといちゃもんをつけるのぉ~!』と泣きながら訴える。

 茉莉花の訴えを聞いたエドワードが教育係を解雇する。それの繰り返しだ。

 ならば王妃自らが茉莉花に王太子妃が身に付けなければならない全てを教えようとしたのだが、茉莉花の『王妃様があたしを虐めるのぉ~!これってどう考えても嫁イビリよね!?』と泣きつく若い救国の英雄の訴えを聞いたエドワード、そして王太子の側近とでもいうべきギルバードまでもが『母上!私は貴女を見損ないました!聖女に対して何という仕打ちを!!』という風に王妃を責め立てるのだ。

 はぁ~っ・・・

 (こういうのを異世界では・・・脳内お花畑や恋愛スイーツ脳って言うのであったな・・・)

 茉莉花の王太子妃教育が進まない事もあるが、何と言っても今回の異世界人召喚は失敗以外の何物でもないという事実だ。

 「何故、あのような獣が聖女として召喚されてしまったのか・・・」

 数えるのも億劫になってしまった溜め息を王妃は顔に憂いを帯びた色を浮かべて漏らす。

 ぐぅ~っ・・・

 「・・・・・・こんな時でも空腹になるのだな」

 昼食の時間になっていた事に気が付いた王妃は呼び鈴を鳴らす。

 呼び鈴が鳴ってから程なくして部屋までやって来た侍女に王妃は、今日の昼食は大食堂ではなく部屋で摂るから持って来て欲しいと告げる。

 「畏まりました」

 主人に一礼をして部屋を退出してから暫く

 「お待たせいたしました」

 キッチンワゴンを押した侍女が王妃に頭を下げると、テーブルに食事を置いていく。

 白いパン、沢山の香辛料を使ったスパイシーな肉料理、野菜より魚が多めのスープ、スパイスを入れたホットワイン、砂糖と蜂蜜を大量に使ったパンプディング

 これが王妃の普段の昼食である。

 神よ、あなたの慈しみに感謝してこの糧をいただきます

 食事前の祈りを捧げた王妃はスプーンを手にするとスープを掬った。








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