カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊿アイスクリームの大福-3-

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 料理人達がクレープ生地を作っている頃

 「あの薄いのにもちもちとした食感をしている大福の皮・・・求肥は片栗粉?ジャガイモ澱粉?でも作れるのだな」

 「今回は白玉粉で作る訳ではないから【なんちゃって求肥】になるのかな?でも、食感は求肥と似ていると思うわ」

 (大福の皮はミルク餅のように、牛乳と砂糖、そして片栗粉?ジャガイモ澱粉?を混ぜたら出来ると思うけど・・・)

 大福の皮として失敗したらミルク餅として料理人達の賄いデザートとして出せばいいと思いながら、紗雪は鍋に牛乳と砂糖、収納ポーチから取り出したジャガイモで作った片栗粉?を入れると中火で煮詰めていく。

 (確か・・・もう一度混ぜながら煮詰めていくのよね)

 火を止めて木べらで均一になるように混ぜた後、再びコンロに火を点けると混ぜながら煮詰めていく。

 (こんな感じかな・・・?って・・・熱っ!)

 出来立てのミルク餅を、片栗粉を振りかけておいた菓子作りには欠かせないのし台の上に置くと麺棒で伸ばそうとするのだが、先程まで火に通していたので当然と言えばいいのか熱かった。

 熱さに耐えながら麺棒で伸ばしたミルク餅を適当な大きさに切り分けた後、冷凍ボックスから出したアイスクリームを包もうとするのだが───余熱でアイスクリームが少しずつ溶けていく。

 粗熱を取ったミルク餅で包めばいいと思うのだが、冷めたら固くなっていくので成形するのも難しいだろう。

 「レイモンドの方は上手く包めて・・・えっ?」

 悩んでいた紗雪が自分の隣でアイス大福を作っている婚約者に目を向けてみると、レイモンドはミルク餅でアイスクリームを包むのではなく巻いていた。

 「大福だから包む事に拘らなくてもいいと思うな。包めないのであればクレープのように巻けばいいんだ」

 「巻く・・・か」

 (生地を巻いた和菓子ってあったかな?・・・って確かにあったわね)

 某老舗の和菓子屋では期間限定で、子供の日の頃になると某メーカーの魚をイメージした和菓子がスーパーで売っていた事を思い出す。

 それ等のお菓子は確か餡と求肥を、どら焼きのようにしっとりとした生地に巻いていたはずだ。

 「流石、レイモンド。ミルク餅を巻くなんて発想がなかったわ」

 レイモンドも戦いの世界に身を置いていたのに、今では自分よりも料理が上手に作れるだけではなくシャーベットのパフェに冷たくて甘いミルク粥を思い付いたりするのだ。

 自分とレイモンドの違いはどこにあるのだろうか?

 (この料理はこうだという思い込みがあるかないか・・・なのかしら?)

 考えても分からないものは分からない。そんな事よりも今はアイス大福を作る方が先だ。

 切り替えた紗雪は、レイモンドと同じ方法で薄く伸ばしたミルク餅でアイスクリームを巻くと、冷凍ボックスへと入れていった。










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