カフェ・ユグドラシル

㊼ベーグルとワイバーンのホワイトシチュー-3-

「ベーグルの作り方はパンと同じだ。違う点を挙げるとすれば、生地を作る時に卵と牛乳とバターを使わない事と焼く前に茹でる事だな」

 「レイモンド坊ちゃん、サユキさん。卵と牛乳とバターがなくてもパンが作れるって本当ですか？」

 「ええ、作れるわ。レイモンドが言っていた通り、卵と牛乳とバターを使わないだけでパン生地を作る時と同じようにベーグルの生地を作って欲しいの」

　使う材料は製パン用の小麦粉、酵母で作った元種、塩、砂糖、水である事を紗雪が料理人達に教える。

 「わ、分かりました」

　卵と牛乳とバターを使わないベーグルというパンは平民が食べるパンのようだと料理人達はそう思ってしまったが、考えてみれば紗雪は異世界人。

　異世界は文化が進んでいるだけではなく、彼女の料理の腕は確かだ。

　料理人達はパン生地を作る要領で、ボウルに製パン用の小麦粉に酵母で作った元種、塩、砂糖、水を入れて捏ねていく。

　捏ねた生地を寝かせて発酵させた事でベーグルの生地が約二倍の大きさになった。

 「次は生地をリング状にしたら、暫くの間そのままにして欲しいの」

 「分かりました」

　料理人達は紗雪の言葉に従い、ベーグルの生地を形成していく。

　三十分後

 「サユキさん、次はどうするんですか？」
リング状にした生地が膨らんだら次は何をすればいいかを、料理人達が紗雪に尋ねる。

 「次は砂糖か蜂蜜を入れたお湯･･･沸騰しているお湯で茹でたら生地の表面が荒れてしまうからその点を注意して欲しいの。沸騰していないお湯で生地を茹でるの」

　片面で三十秒くらい茹でたら、生地を作っている間に温めておいたオーブンで焼くのだと教える。

　十五分後

　オーブンから取り出したベーグルは、焼き色だけを見れば自分達が知っているパンだった。

 「･･･何か美味しそう」

 「今日はプレーンタイプのベーグルにしたけど、生地に野菜のペーストや干しブドウを練り込んだり、ハムやチーズを挟んだり、ジャムを塗って食べる事も出来るわね」










　紗雪が料理人達にベーグル作りの指示をしている頃