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㊻屋台ユグドラシル、オープン-5-
しおりを挟む生長する植物も野菜も果物も穀物も生き物
それ等を口にしないと生きていけないエルフも私達人間と同じ業を背負っているの
「は?」
紗雪の言っている事が理解出来ないアンネローゼは思わずポカ~ンとした顔になってしまっただけではなく呆気に取られた声を上げる。
「いい?森に生えている木々に植物、果物に野菜、それから穀物。それ等は太陽の光と水、時間をかけて分解した落ち葉に昆虫、動物の死骸を栄養にして育つでしょ?」
「その土で育った木に実った果物や野菜をエルフは食べている。つまり、乳や魚といった動物を連想させるものを口にしないエルフも俺達のように生き物の命を奪っているという事か・・・」
「それ、私が言おうとしていたのに・・・」
「悪い」
「そんなの詭弁よ!動物のように動いたり、鳴き声を上げない野菜や果物は生き物じゃないわ!野菜と果物と穀物しか食べない私は、あんた達のような野蛮人とは違う!!」
神に近い種族であるエルフの自分は、自分が生きる為に殺生はしないのだと、アンネローゼは憤怒の形相を浮かべてレイモンドと紗雪に主張するのだが、二人はやれやれという感じで呆れている。そしてそれはレイモンドと紗雪だけではなく、彼等の遣り取りを眺めていた客達も同様だった。
「確かに黒髪の姉ちゃんの言っている事は尤もだよな」
「そうね・・・。野菜と果物も時間をかけて大きくなるから考えようによっては生き物なのかも」
「そうじゃ!サユキ嬢の言う通りじゃ!だからこそ儂達は大地が与えてくれる命の糧に、海が与えてくれる命の糧に感謝してそれ等を食べて生きて行くのじゃ!」
あの女エルフにはサユキ嬢の言葉が一生理解出来ぬと思うがな
紗雪とレイモンド、そしてアンネローゼとの間に誰かが割り込んで来た。
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