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㊻屋台ユグドラシル、オープン-2-
しおりを挟む装飾品に衣類、野菜に果物、串焼きに果実水
生活に必要な商品を売っている屋台市場の中にフライドポテトを売っている屋台があった。
ユグドラシルである。
当初は王都で売っていたフライドポテトのように小さな紙袋に入れて売ろうと思っていたが、前日になって紗雪はある欠点に気付く。
確かに、このやり方であれば歩きながら食べる事が出来る。
実にお手軽だ。
だが、このやり方はコストがかかるだけではなく、フライドポテトを買った客が食べ終わった後に紙袋を道端にポイ捨てする可能性も否定できない。
街の景観を汚す事を避けたい紗雪はレイモンドに相談した。
『紗雪の世界ではそのようなやり方なのか。キルシュブリューテ王国では客が器を持って並ぶんだ』
これは他国でも同じだし、自炊する前の自分もそのようにしていたのだとレイモンドが紗雪に教える。
例えば肉の串焼きであれば、食べやすい大きさに切った肉を客が持ってきた器に入れる。客は屋台で買った肉を自宅に持って帰ってから食べるのだ。
屋台で売っている串焼きに使っている串は金属製なのでそれなりに高い。
金属の串に刺したままの状態で客に渡してしまったら、肉の串焼きを売っている屋台が倒産する事など火を見るより明らかだ。
『木の串を刺すという形で肉の串焼きを売らないの?』
『そのような形で売れば、それこそ串焼きを買った客はその場で食べる。その後はその辺に串を捨てるだろうな』
ポイ捨てを防ぐ為にゴミ箱を設置したらいいのではないか?と言おうとしたのだが、その辺りは予算に関わるような気がするので政治に関しては全くの素人である自分が口出ししない方がいいと思った紗雪はその言葉を呑み込む。
『お客が器を持参して屋台に並ぶ。確かにその方法だったら街の景観は・・・待って!家に持って帰ってから食べるという事は、揚げ立てのフライドポテトは冷めるという事よね?』
『そうか!フライドポテトは揚げ立てだからこそ美味いのであって、冷めてしまったら・・・』
今までは出来立てを食べていたが、屋台で売るとなれば話が違ってくる。
紗雪の一言で気が付いたレイモンドは頭を抱えてしまう。
(冷めても美味しいフライドポテトは確か・・・)
思い出した紗雪はフライドポテトに関してある事をした。
そして──・・・。
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