カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊺チョコレートソース-2-

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 料理人達の力を借りて粉にしたカカオ豆を練ったをした三日後

 本来であればカカオ豆を粉にするまで様々な過程を経なければいけないのだが、今回はソフィーが収納腕輪に入れていた粉を使うので、砂糖を入れて温めた牛乳に粉を加えるだけで済んだ。

 「・・・これがチョコレートソースという奴か」

 プルメリア島とインペラトーレ帝国でしか味わえないショコラとは異なり、滑らかな茶色の液体を目にしたアルバート達が呟く。

 「このソースはアイスクリームだけではなく、陛下が気に入っている氷菓とやらと相性が良さそうだな」

 「あの時は生クリームとバニラがなかったからシャーベットで氷菓・・・紗雪の世界ではシメパフェと呼ばれている菓子を作りましたが、シャーベットをアイスクリームにする事で濃厚でクリーミーな味わいと滑らかな口当たりを楽しめますし、父上の仰る通り陛下が気に入っているパフェとチョコレートソースの相性がいいですよ」

 あのシメパフェにチョコレートソースが絡んだらどのような味になるのだろうか?

 ((((・・・・・・))))

 想像してしまった四人は思わず生唾を飲み込む。

 「レイモンド殿、サユキ嬢。キルシュブリューテ王国の国王との会談の際に、チョコレートソースをかけたパフェとやらを出してくれぬか!?」

 パフェが何なのか分からないが、レイモンドと紗雪が作ったデザートであれば美味しいはずだ。

 「父上・・・」

 今回の会談において、会食に出す料理は王宮の料理人達が決めるのではないだろうか?

 ソフィーの懇願にどう答えたらいいのか分からないレイモンドはランスロットに助けを求める視線を送る。

 「・・・・・・キルシュブリューテ王国の食材とプルメリア島の食材を使ったデザートを出せば、話が進みやすいかも知れないな」

 「ロードクロイツ侯爵の言う通りじゃ!二つの国の食材を融合させる事で話を進めやすいと思ったからこそ、妾は提案したのじゃ!」

 ((((どう見てもそこまで深く考えた上での提案じゃないよな))))

 ソフィーの言動に対して四人が心の中でツッコミを入れる。

 「食後のデザートだけはレイモンド殿とサユキが作る事を俺達が王宮の料理人達に伝えればいいとして・・・」

 「バニラがキルシュブリューテ王国に広まるかどうかは、陛下の腕にかかっているという事か」

 「ですが、我が国の陛下は魔王様ですもの。陛下を目の当たりにしてしまったソフィー王妃が怯えてしまわないかしら?」

 「母上、それでしたら大丈夫です」

 不安を口にしたエレオノーラに、ダークエルフの長ことソフィーの夫であるクリストフは見た目が大魔王なので、魔王なディートヘルムを前にしても恐怖する事はないとレイモンドが教える。

 「そ、そうなのね・・・」

 大魔王なダークエルフを見て見たかったというロードクロイツ侯爵夫妻とロスワイゼの思いをよそに、ディートヘルムとソフィーが顔を合わせて会談する日が訪れた──・・・。










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