カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
190 / 451

㊹ミルクセパレーター-10-

しおりを挟む









 「これは・・・チョコレートソース!」

 ほろ苦さと甘さを感じるチョコレートソースをかけたアイスクリームはどのような味になるのだろうか?

 エレオノーラはチョコレートソースをかけたアイスクリームをスプーンで掬い口に運ぶ。

 「お、美味しい~♡」

 アイスクリーム単品だけでも美味しいのに、チョコレートソースをかけた事で別の味になったものだからエレオノーラの顔に満面の笑みが浮かぶ。

 そんなエレオノーラを見たランスロット達も彼女に倣ってアイスクリームにチョコレートソースをかけて食べてみた。

 「これは・・・」

 苦さの中に甘味を感じるチョコレートソースが絡む事でアイスクリームの甘さとバニラの香りが引き立つのだ。

 「ショコラには斯様な使い方もあるのだな・・・」

 薬や滋養強壮としてしか飲んでこなかったショコラをデザートのソースとして使ったという事にソフィーは感心の声を上げる。

 「ベルンハルト。私達がお前に魔道具を作って欲しいと頼んだ理由をこれで納得してくれたか?」

 「異世界の料理を広めるにはサユキさんとレイモンドだけではなく、ベルンハルトの力も必要なの」

 「・・・はい」

 異世界の料理は激マズだと思っていたベルンハルトであったが、自分が食べていた氷菓よりも美味いアイスクリームを出されたら納得せざるを得ないでいる。

 「俺の作る魔道具がキルシュブリューテ王国だけではなくプルメリア島の食文化の発展を促すのであれば喜んで協力します」

 「ベルンハルト兄上・・・ありがとうございます」

 「その代わり条件がある」

 ベルンハルトは告げる。





 今回の生クリーム作りのように新しい魔道具の開発を依頼する際は、その食材を使った料理を自分に試食させる事

 商業ギルドでそれ等の魔道具の登録をする時の名義はベルンハルトにする事





 「この二つの条件を二人は守れるか?」

 「「よろしくお願いします」」

 魔道具の原理の説明は出来たとしても内部構造と作る過程が分からないので、ここは魔道具作りの専門家であるベルンハルト名義で登録した方がいいような気がすると思った二人は頭を下げてベルンハルトに頼む。

 「ベルンハルト様。生クリームを作る魔道具の事ですけど、急いでいませんのでベルンハルト様が抱えている仕事を終えて落ち着いた時に取り掛かっても大丈夫ですから・・・」

 「ベルンハルト兄上、無理をしないで下さいよ」

 「分かった。魔道具作りの専門家として良い商品を作ると約束する」

 交渉成立

 笑みを浮かべて手を差し出したベルンハルトと握手を交わす。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

【完結】薔薇の花をあなたに贈ります

彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。 目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。 ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。 たが、それに違和感を抱くようになる。 ロベルト殿下視点がおもになります。 前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!! 11話完結です。

聖女の姉が行方不明になりました

蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

処理中です...