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㊴カボチャの茶巾絞り-4-
しおりを挟む「茶巾絞りというサユキの故郷の菓子、見た目が可愛いだけではなく・・・何より美味いな」
壊血病対策としてカボチャで作った茶巾絞りを口にしたアルバートが、交易で海に出る乗組員達に食べさせたいので教えて欲しいと紗雪に頼んだ。
「今回の件が終われば作り方を教えますし、屋台で売ろうと考えていました」
それに、茶巾絞りはお茶会に相応しいお菓子だと思うので、ロスワイゼとロードクロイツ侯爵夫妻にも試食して欲しい事をアルバートに打ち明ける。
「あの三人の事だから喜んで試食してくれるのは確かだが・・・その茶巾絞りという菓子は屋台用とお茶会用の二種類を作った方がいいだろうな」
「シュルツベルク伯、そうするつもりですよ」
「後はそうだな・・・。陛下にも茶巾絞りをお出しした方がいいだろうな」
「陛下?えっ?」
バニラビーンズを手に入れる事が出来たら、それを使ったケーキやクッキーを献上するつもりでいたのだが、茶巾絞りをディートヘルムに用意しろと言われるなんて夢にも思っていなかった紗雪は間の抜けた声を上げて驚いてしまう。
「サユキ・・・陛下は酒を嗜めないが甘いものが大好きな御方だ。しかも陛下直々に宮廷料理人として仕えて欲しいと、二人に話を持ち掛けたのだぞ?」
そんなお前達が茶巾絞りという新しい菓子を作ったと知れば陛下の事だ
バニラビーンズとは別件で王宮に呼び出して、魔王様なオーラを背負いながらお前達に茶巾絞りを強請るだろうな
((・・・・・・・・・・・・))
あのディートヘルムであれば遣り兼ねない。
「さ、紗雪?茶巾絞りを陛下に食べて頂こうな?」
「そ、そうね・・・。陛下に茶巾絞りを食べて頂きましょうね!」
ラスボス感満載なディートヘルムに凄まれて詰め寄られるところを想像してしまい互いに顔を引き攣らせてしまった紗雪とレイモンドは、思わず恐怖で身体を震わせながらヒシっと抱き合うのだった。
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