カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊴カボチャの茶巾絞り-2-

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 ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、ブロッコリー、キャベツ、苺、レモンにオレンジといった柑橘類等
「野菜と果物を食べれば壊血病を防げると・・・」

 今回の旅に同行してくれた料理人達が、紗雪とレイモンドの言葉をメモしていく。
「市場でカボチャが売っていたから買っちゃったの。カボチャは惣菜だけではなくお菓子も作れるから、今からカボチャを使った・・・デザートを作りましょうか?」
「カボチャを使ったデザートって事は・・・プリン?いや、パイかタルトを作るのか?」
「違うわ」

 そう言った紗雪が今から作ろうとしているのは、カボチャの茶巾絞りだ。
「茶巾絞りというのは確か・・・紗雪の故郷で食べられている和菓子の一種だったな」

 紗雪から見せて貰った和菓子関係の本を思い出したレイモンドが声に出して呟く。
「俺、茶巾絞りを作った事がないのだが?」
「私は母が作っていたところを見ていたから作り方は知っているけど、実際に作った事がないの」

 だから、カステラの時のように二人で協力して作ればいいのよ
「・・・そうだな」

 作った事がないのであれば、二人が力を合わせればいいだけだ。

 エレオノーラのお茶会の為にカステラを作った事を思い出したレイモンドは、カボチャの茶巾絞り作りに取り掛かる。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 カボチャの茶巾絞りは、カボチャとバター、そして砂糖と牛乳という少ない材料で簡単に作れるお菓子だ。

 まず、紗雪は鍋に牛乳を注ぐと弱火で温める。

 「すみません、今からカボチャを蒸して柔らかくするので蒸し器かフライパンを用意してくれませんか?」

 牛乳を弱火で温めていた紗雪が頼むと、ディートヘルムの命令で今回の船旅に同行してくれた料理人の一人が蒸し器を用意してくれた。

 (お養父様だけが新作のお菓子を食べたと知ったら、お養母様とロードクロイツ侯爵達の機嫌を損ねてしまうわね)

 「私は今からカボチャを切るからレイモンドは牛乳を見てくれないかしら?」

 「ああ」

 キルシュブリューテ王国に戻ったら果物で飾った茶巾絞りをランスロット達に振る舞いたいと思いながら、紗雪は収納ポーチから取り出したカボチャを流水で洗い半分の大きさに切ろうとするのだが、固いのかカボチャに包丁が入らないでいる。

 (か、カボチャって切る時に何時も苦労するのよね・・・)

 「紗雪、俺がカボチャを切ろうか?」

 苦戦している紗雪を見兼ねたレイモンドが彼女から包丁を取り上げると、いとも簡単にカボチャを切っていく。

 「ありがとう、レイモンド」

 「これくらい、お安い御用だ。紗雪、次は何をすればいいんだ?」

 「半分に切ったカボチャの種とワタを取り除いたら蒸し器で蒸すの」

 蒸して柔らかくなったカボチャを木べらで潰すのだと、レイモンドに教える。

 「それは俺がやるから、紗雪は茶巾絞りに必要な材料の準備をしてくれないか?」

 「ええ」

 こういうところはやはり男性で頼りになると思いながら、紗雪は牛乳の様子を見たり、冷蔵ボックスからバターを取り出したり、清潔な布巾を用意したりといった準備をしていた。









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