カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊲バニラビーンズ-2-

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 「ダークエルフ?」

 「褐色の肌をしているエルフの事だ」

 レイモンドが紗雪に耳打ちをして教える。

 ダークエルフはエルフと同様に魔法に長けているが、一つだけ違いがある。

 それは、肉・魚・卵・牛乳といった動物性の食品に忌避感を抱いておらず口に出来るという事だ。

 「陛下、ダークエルフとエルフって肌の色が違うだけで同じ種族なのですよね?」

 それなのに、ダークエルフが乳製品や動物性の食品を食べたり飲んだりする事に紗雪は驚きを隠せないでいる。

 「エルフが口にせぬ卵や乳製品をダークエルフであれば口に出来る理由は余も分からぬが・・・サユキ嬢よ、そもそも
 ショコラはダークエルフが住むプルメリア島とインペラトーレ帝国でしか口に出来ぬ代物なのだ」

 「何故、ショコラが限られた地域でしか口に出来ないのですか?」

 「それはだな・・・地図を見て貰った方が早いな。デイビッド」

 地図を見なければ分からないと思ったディートヘルムがデイビッドに地図を持ってくるように命じる。

 「これが、フリューリングの地図・・・」

 デイビッドが数分も経たないうちに持ってきた地図には四つの大陸と幾つもの小さな島が描かれていた。

 「地図の左上辺りにあるのがクレール大陸。大陸の東南にあるのがキルシュブリューテ王国だ」

 クレール大陸の右下──中央に位置している巨大な大陸をソラール大陸という。そんな大陸の五分の四以上とソラール大陸から見て東にあるステルラ大陸の一部を軍事力で支配しているのがインペラトーレ帝国だ。

 周辺国はインペラトーレ帝国に朝貢し臣従する事で自国の平穏を保っている事を紗雪に教える。

 「もしかして・・・陛下もインペラトーレ帝国に従っているのでしょうか?」

 インペラトーレ帝国の皇帝がどのような人物なのか分からないが、魔王様なディートヘルムが他人に頭を下げる姿が想像できない紗雪は我知らずそんな言葉を口に出していた。

 「帝国側から見て、辺境の大陸に住む我等は野蛮人で征服する価値もないのだそうだ」

 (そのような思想って異世界にもあるのね。というより、どう考えても・・・)

 迷い人や召喚された異世界人、召喚に巻き込まれた異世界人が市民権を得ているキルシュブリューテ王国は辺境というより魔境という言葉が相応しいような気がするとツッコミを入れたかったのだが、バニラビーンズの情報を手に入れる事が先なので紗雪はディートヘルムの話を聞く事にした。









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