カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㉞ローゼンタール公爵夫人-2-

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 歴史と趣を感じる旧市街の街並みを楽しんだり

 大道芸人が披露するダンスや音楽、軽業を見て楽しんだり

 ロードクロイツとシュルツベルクと王都の物価の違いに一種のカルチャーショックを受けたり





 王都の観光を楽しんだ後、喉が渇いたのか、二人は屋台で売っている桃の果実水を購入した。

 「冷たくて美味しい」

 レイモンドが魔法でコップを冷やしている事で、適度な冷たさになっている果実水は乾いた喉を潤すのに相応しい飲み物だ。

 「そうだな・・・」

 何気なく飲んでいる桃の果実水が何時もより美味しく感じるのは、こうして隣に紗雪が居てくれるからであろう。

 大切な人が居るというだけで全てが輝いて見える日々を過ごしたいと思いながら、レイモンドは桃の果実水を飲んでいく。

 「レイモンド、今日は本当にありがとう」

 ディートヘルムが好みそうな氷菓作りの事を一切考えず、純粋に王都の観光を楽しめた紗雪はレイモンドに対して礼を口にした。

 「・・・紗雪にとって、いい気分転換になったみたいだな」

 「ええ」

 二十一世紀の日本の娯楽を知っている人間から見れば、フリューリングの娯楽は物足りないのかも知れない。というより、はっきり言って物足りないし、何より刺激がない。

 だが、紗雪はレイモンドの自分に対しての心遣いが嬉しいのだ。

 「ねぇ、レイモンド。時間がある時に流行っている芝居を・・・いえ、花見や月見をしたいわ」

 「分かった。その時は純粋な意味で楽しみたいな」





 約束をした二人は腕を組みながらロードクロイツ邸へと帰る。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 「レイモンド、サユキさん。デートから帰って来たばかりの二人にこんな事を言うのは申し訳ないのだけど・・・」

 「酵母の登録についての返事が今日だからな。二人共、今から商業ギルドに行くぞ」

 聖女対策として酵母を広める為に商業ギルドに登録していた事をアルバートの言葉で思い出す。

 「分かりました」

 酵母が登録されるかどうか分からないが、結果を知りたいのもまた事実。

 一行は商業ギルドへと向かう。








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