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㉙お茶会-3-
しおりを挟む絵画や音楽といった趣味に自分の好きな事の話をしながら、或いは家庭や子育ての不満や愚痴をぶつけながらお茶とお菓子を楽しむ。
要するに友人や知人達が集い楽しんで客人をもてなす小規模なパーティーの一つがお茶会に対するイメージを抱くのではないだろうか。
ある意味正解であり、間違いでもある。
高位貴族の夫人にとってお茶会とは情報収集の場であり、領地を栄えさせる為に新たな伝手を築く場でもあるのだ。
「お、お茶会って外交の一種でもあったのですね・・・」
自分の好きな事を気軽に話したり、日頃の鬱憤を晴らすものだと思っていたのに、貴族社会で開かれるお茶会には政治的な意味を含んでいた事に紗雪は思わず引いてしまっていた。
「最初は真面目に話をするのよ?でも、時間が経つにつれて愚痴や不満を零すようになるから深く考えない方がいいわ」
「俺達にとってはそれが普通なのだが・・・?紗雪の世界ではお茶会というものがなかったのか?」
「友人達とお茶を楽しんでいた時は学校の授業や教師に対する不満をぶつけたり、自分の好きなタレントだったりゲームや漫画の話をするものだったし、それに日本では侘び寂びを感じる茶道もお茶会と呼ぶから」
「ワビサビ?サドウ?」
侘びとは静寂の中に趣があると感じて楽しむ心、寂びとは古いものに趣や美しさを感じる事、茶道とは点てたお茶を客人に振る舞う芸道である事を紗雪がレイモンド達に教える。
「俺にはワビサビとやらがさっぱり理解出来ない!!」
侘び寂びを感じたり、楽しむのは日本人特有の感性だから無理して理解しなくていいと頭を抱えるレイモンドに告げる。
「・・・サ、サユキさん?続きを話していいかしら?」
話が逸れてしまったと感じたエレオノーラが話を続ける。
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