カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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 予定よりも長く滞在してしまった事もあり領地の様子が気になるランスロットは、紗雪にある事をお願いした。

 今からシュルツベルクを出立する事と、今後の紗雪の身の振り方の相談を記した式神をエレオノーラの元に飛ばして欲しいというものだ。

 「分かりました」

 ランスロットから受け取った手紙を紗雪は式神に変化させる。

 「「「て、手紙が消えた?!」」」

 アルバート、ロスワイゼ、アルベリッヒは目の前にあった手紙が一瞬にして消えたものだから思わず驚きの声を上げる。

 「あの手紙は数分もしない内にエレオノーラの元に届く」

 へぇ~っ・・・

 「異世界には便利な魔術があるのだな」

 「シュルツベルク伯。これは元の世界で修行を積んだ紗雪・・・殿だからこそ式神を操れるのであって、異世界人の全てが使える代物ではありません」

 現に祖母とローゼンタール公爵夫人・・・私達が見てきた異世界人はフリューリングに来てから魔法が使えるようになったけど、それまでは戦う術を知らなかった人間ですし、今でも修行を積んだ紗雪・・・殿のように式神とやらを使えないですよ

 「レイモンド殿。確か、お前さんの婆さんはOLとやらで戦いに縁のない世界で生きていた人間だったな。つまり、シキガミというのはサユキしか使えない術という事か・・・」

 レイモンドの言葉でランスロットは、迷い人の殆どが戦いに縁のない人間だった事を思い出す。

 「アルバート、紗雪殿の事で世話になった。そなたには本当に感謝「おい・・・ちょっと待てや、コラ。お前さん、勝手に娘を連れてくんじゃねぇよ」

 レイモンドと紗雪を伴いロードクロイツに帰ろうとするのだが、そんな幼馴染みをアルバートが笑みを浮かべているが背景にどす黒いオーラを放ちながら止めに入る。

 曰く

 確かに紗雪はレイモンドと婚約している。

 現段階では、あくまでも婚約。

 嫁がせるまでに自分には紗雪を父親として娘を護る義務があるし、貴族令嬢としての心構えを教える義務もあるとの事だ。

 「だが、婚約者が互いの家を行き来して交流を深めなければいけないのも事実」

 という訳で俺とロスワイゼをロードクロイツに連れて行け

 娘を持つ親として、アルバート夫妻はランスロット達と共にロードクロイツへと向かうと言い出してきた。

 「よろしいのですか。お養父様、お養母様?」

 アルバートには領主としての仕事が、ロスワイゼには領主夫人としての仕事があるはずだ。

 ランスロットは自分が不在の間の采配をエレオノーラに任せていたが、アルバートはどうするつもりなのだろうか?

 「俺達が留守にしている間はアルベリッヒに取り仕切って貰う」

 「父上!?・・・・・・分かりました、分かりましたよ!」

 本音を言えば自分も兄として同行したかったのだが、こういう事は父親と母親の役目だ。

 「旅の無事を心よりお祈りいたします」

 何かしらのトラブルが降りかからない事を願いながら、アルベリッヒはロードクロイツに向かう一行に頭を下げる。











※鰻はシュルツベルク家で調理する予定だったけど、ロードクロイツに帰る事になったので収納ポーチに入れて持って帰ります。
その鰻はロードクロイツ家で調理する形になります。











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