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㉗ちくわパンとカルツォーネ-9-
しおりを挟む「ちくわというのは鱈や鯛といった白身魚を練り物・・・ペースト?いや、パテ?にしたものを焼いたのか・・・」
「今でこそ平民でも食べられるけど、昔は天皇や将軍といった身分の高い人しか食べられない代物だったと・・・」
煮る、焼く、干す、塩漬け、テリーヌ、パテにするしか調理法のない魚をこのような形で食べるという異世界の食文化に、紗雪とレイモンドから説明を受けた四人は感心した声を上げる。
「サユキ。その、ちくわって奴なんだけどな・・・ミソとショーユと合うのか?」
「ええ、ちくわって味噌と醤油と合いますよ。それよりもお養父様、シュルツベルク家には味噌があるのですか!?」
醤油が厨房にある事は知っていたが、味噌があるなんて夢にも思っていなかった紗雪はアルバートに尋ねる。
「あるんだな、これが」
シュルツベルクは桜花という島国から味噌、醤油、米、米から作ったという水のように透明な酒、鰹節という硬い魚・・・使い方が分からない食品だけではなく、簪に扇子といった装飾品に陶磁器や漆器といった工芸品を輸入しているのだと紗雪に教える。
「但し、醤油以外はどう使えばいいのか分からないから、収納庫に入れたままになっているけどな」
「お養父様!米、味噌、醤油、鰹節、清酒があれば料理の幅が広がります!!」
米があれば炊き込みご飯に焼きおにぎり、胃に優しいおじやにリゾットが作れるし、鰹節と昆布があればより旨味が増した味噌汁が飲めるし、清酒と砂糖で味醂の代用が作れるわ!
「お、おぅ・・・」
「「さ、紗雪殿が何時になく輝いている!!?」」
これぞ日本人!!!
((食べ物が関わればここまで人が変わるのか・・・))
改めて日本人の食に対する貪欲さを感じるランスロットとレイモンドであった。
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