カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㉕粉末昆布-6-

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 んっ?

 「これは・・・鶏肉?」

 「鶏のささみという部分か」

 「キャベツで鶏肉を包み、更にその鶏肉で人参といんげんを包む。これが異世界のキャベツロールなのね」

 人参のオレンジ色、いんげんの濃い緑色、鶏肉の白色、キャベツの緑色

 キルシュブリューテ王国でキャベツロールと言えば挽き肉をキャベツで包んだ食べ物なのだが、どうやら異世界では違うらしい。

 色鮮やかで見た目も綺麗な異世界のキャベツロールにレイモンドを除く四人が思わず感嘆の色を含んだ声と溜め息を漏らす。

 「シュルツベルク伯爵夫人、異世界のキャベツロールは基本キルシュブリューテ王国のものと同じですよ」

 今回の紗雪殿はキャベツロールをアレンジして出したのでしょう

 異世界のキャベツロールも、キャベツで挽き肉を包んだ料理である事をレイモンドがロスワイゼに教える。

 レイモンドの言葉に興味を持った四人は、ナイフで一口サイズにカットしたキャベツロールを口に運ぶ。

 「このキャベツロールは昆布の味?風味?が染み込んでいているし・・・何より、さっぱりとしているから食べ易いな」

 ういう形でキャベツロールを食べるのは初めてだったからなのか、シュルツベルク親子だけではなくランスロット親子も手を止める事なく、だが貴族らしく洗練された食事作法で平らげていく。

 「ガラスや石鹸の材料となる昆布が調味料として使えるとは思わなかった・・・」

 新たな発見だったと言わんばかりにアルバートが呟く。

 「お養父様、粉末昆布はシュルツベルクにとって新たな事業になるでしょうか?」

 「それよりもサユキちゃん、聞いてもいいかしら?昆布は美容と健康にいいと言っていたけど、それってどんな効果があるの?」

 美容と健康という言葉が気になっていたロスワイゼが、粉末昆布がシュルツベルクの新たな名物になるのかどうかを気にしている紗雪に昆布の効果を尋ねる。

 「お通じに肥満防止、それから美肌と美白と美髪でしょうか?一日に一回だけスープ一杯分を飲めばいいですよ。その時に入れる粉末昆布は・・・一人分でこれくらいでしょうか?」

 紗雪が粉末昆布を小さじスプーンに半分くらいの量を掬ってロスワイゼに見せる。

 「但し、こういうのは毎日続けないと効果が出てきませんし、摂り過ぎるとお肌が荒れます。何より腎機能障害がある人は口にしてはいけないという注意がありますけどね」

 「分かったわ!一日に一回だけスープ一杯分を飲めばいいのね!?あなた、美容と健康の為に粉末昆布をシュルツベルクの新たな名物として売り出して見せますわよ!!」

 それにはまず、私達のみならず使用人達にも粉末昆布を使った料理を食べて効果を確かめないとね!!

 「お、おぅ・・・」

 「母上、何時になく気合入っていますね・・・」

 「あいつ、便秘に悩んでいたからな~」

 ロスワイゼが頑固な便秘に悩んでいる事を知っているアルバートとアルベリッヒが思わずたじろいでしまう姿があった。











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