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㉑シュルツベルクへ1-
しおりを挟む「紗雪殿、二日後にシュルツベルクに行く事になった」
「分かりました・・・」
ランスロットが紗雪を貴族の養女にするのは、彼女がこの世界で生きて行く為に必要な戸籍と後ろ盾を得る手段なのだ。
(何だか不思議な気分だわ)
一般庶民である自分が異世界召喚に巻き込まれただけではなく貴族の娘になるなんて──・・・。
(まるでラノベ展開を見ている気分ね。・・・あっ、私だけではなく霊剣・蜉蝣の使い手であったご先祖様達の能力と立場って、ラノベの主人公になってもおかしくないものだったりするのよね)
自分の身に起こっている事に対して、紗雪が心の中でツッコミを入れる。
(そんな事はどうでもいいのよ!今の私がやるべき事と言えば・・・旅に出ている間に食べる料理を作って、ロードクロイツ家の料理人達に洋食系の料理とお菓子の作り方を教えて・・・。それから、調味料を入れ過ぎない事と身体の事を考えて野菜を摂った方がいい事と、パスタは種類によって茹でる時間を分けた方がいい事を教えて・・・。それ以外に教える事ってあったかしら?そうだ!旅に出ている間の料理だけではなくコンソメスープも作らないと)
今回の旅はランスロットとレイモンドが同行する事になっている。
という事は、ロードクロイツ家の料理人達に異世界の料理を教える人間がいないのだ。
あっ・・・
「レイモンドさん、お茶会に出すカステラの作り方を料理人達に教えないと侯爵夫人が恥をかく事になるわ」
自分達が試作したカステラはもうないのだ。
新たなカステラを作る為、紗雪はレイモンドの手を引いて厨房へと向かう。
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