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⑱異世界といえばマヨネーズがお約束-1-
しおりを挟む夢
茉莉花は夢を見ていた。
邪神・サマエルが倒された時の事を──・・・。
RPGではお馴染みの敵キャラであるゴブリンやオークといった魔物や怪物を倒しながら(実際に倒していたのは紗雪達で茉莉花と愉快な下僕共は恐怖で立ち尽くしていただけ)ウィスティリア王国を攻めていた邪神・サマエルがいる草木が一本も生える事がない瘴気に満ちた地───通称・奈落の大地を目指していた茉莉花達。
『あ、あれが・・・あれが邪神・サマエルなの?!』
『あ、あ・・・』
悪戦苦闘の末(実際は紗雪のおかげで悪戦苦闘ではなく楽勝だった)、遂に自分達は邪神・サマエルと対峙する事になった。
ゲームに出てくる聖女をイメージして杖を構えて戦闘態勢に入った茉莉花であったが、目の前に現れた存在から発せられる邪悪なオーラに恐怖と絶望を感じたのか、彼女と顔しか取り柄がないエドワードとギルバードはその場に座り込んでしまっただけではなく粗相をしてしまう。
『『『ば、化け物だーーーっ!!!』』』
茉莉花達の前に現れたのは、人間の顔の輪郭の左右に蝙蝠のような四対の羽、中央に巨大な目が一つある怪物──・・・。
この生物こそが邪神・サマエルだった。
サマエルの顔の中央にある巨大な目玉から、眩い光のビームが茉莉花達に向けて発せられる。
(こ、このままでは・・・殺されてしまう!)
嫌だ!
嫌だ!
嫌だ!
あたしは死にたくない!
誰か、聖女であるあたしを助けて!
近寄って来る死の恐怖に瞳を閉じ、身体を震わせながら助けを求める茉莉花であったが、そんな彼女の耳に醜い断末魔の悲鳴が入る。
(な、何・・・?何があったの・・・?)
恐る恐る瞼を開いた茉莉花が目にしたのは、獰猛な獣の鋭い牙で噛まれたかのように傷を負ってしまった邪神・サマエルが血を流しながら悲鳴を上げている姿だった。
精霊使いであるカーラとラルクの話によると、紗雪が召喚したホワイトタイガーの精霊が邪神・サマエルと戦っているらしい。
『あの程度で邪悪の神を名乗るなんて・・・虫唾が走る』
『た、篁、さん・・・?』
『あんな小物くらい、他人に頼らず自分達の力で倒せよ』
ちっ!
(た、篁さんの目・・・)
あの時の紗雪が自分達に向けていたのは、実力があるが故に弱者を見下す傲慢な強者の瞳。
そして、その瞳にはその気になりさえすれば足手纏いとなった者を平気で切り捨てる事が出来る冷徹な光を帯びていた──・・・。
※霊剣・蜉蝣がなくても、大抵の霊や妖怪であれば紗雪は簡単に除霊・浄霊・退治が出来ます。
また紗雪は、篁の人間としての使命を受け入れているので、罪にさえ問われなければ、自分が後悔すると分かっていても、嫉妬で元に戻れないレベルの鬼と化した、九尾狐や牛鬼クラスの妖怪に取り憑かれて元に戻れなくなった友人知人を葬ります。
イメージとしては、吸血鬼になった恋人の心臓に杭を打つ事で死の安らぎを与えるようなものでしょうか。
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