カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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③卸しで稼いでいます-2-

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 卸しを終えてから一ヶ月の家賃四十シルバのユニットバス付きの借家へと帰り、昼ご飯のざるうどんと天ぷらを食べ終えた紗雪はお金の計算をしていた。

※王都や都心部であれば、家賃は倍近くする

 「本日の利益は・・・収入と支出を引けば一ゴルド九十シルバか。昨日は日傘と帽子の卸しだけで二ゴルドの利益だったのよね」

 これってどう考えてもぼったくり以外の何者でもないと思いながらも、お金様がなければ食品と日用品の購入はおろか、こうして雨風を凌げるアパートに住む事が出来ないのだ。

 正にネットショップ様々である。

 「それにしても、ネットショップでは二千円・・・二シルバで売っているブラウスが四十シルバで売れると言われた時は、本当に驚いたわ」

 財布として使っている革袋をマジックポーチに入れた紗雪は、一年前の事を思い出す。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 当時の紗雪は庶民向けの洋服を売って生きて行こうという考えだった。

 ネットショップで民族衣装を購入した翌日

 異世界から来た人間だとばれないように青のカラーコンタクトレンズを付けた紗雪は、商人のスノーとして登録するべく商品ギルドへと向かった。

 『このブラウスを売るとすれば、そうですね・・・四十シルバが妥当なところでしょうか。スカートとズボンは八十から九十シルバになりますね』

 これでしたら、貴族街のブティックショップに卸しても問題ありませんね

 商人として登録した後、マジックポーチから取り出した服を見た商人ギルドの受付に売価を言われた時、何時かは庶民向けのアパレルショップを開くつもりでいた紗雪は驚いた。

 そりゃそうだ。

 日本では数千円で売っている服が、異世界では何十倍もの価値があったのだから──・・・。

 現代では人の手が必要な部分もあるが、紡糸、機織り、縫製を機械でしているからこそ安く売れるのだ。

 地球で言えば中世から近代に当たる異世界では、それ等を全て人の手でやっている。

 材料費や人件費を考えれば、一着の服が何万円もするのは当然だったのだ。

 ネットショップで購入した値段の二~四倍で普段着を、十倍で平民用の晴れ着として売ればいいだろうと安易に考えていた紗雪は頭を抱えるしかないのだった──・・・。







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