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②キルシュブリューテ王国-2-
しおりを挟む「キルシュブリューテ王国は海沿いだから、塩と胡椒はウィスティリア王国の半分くらいの値段で売っているけど、それでも一キロで五十シルバか・・・」
匂いの良くない、しかも質が悪い石鹸が一個十シルバで売っているという事実に、日本人としての感覚が抜け切れていない紗雪は、物価の高さに驚きながらも市場を歩きながら考える。
ネットショップの化粧水は売れると思うが、肌に塗るものなので個人によっては【お肌のトラブル】が起こる可能性も否定できない。
ならば、白粉はどうか?
白粉は有害な白鉛や水銀を使っていないので売れる可能性がある。
だが、白鉛や水銀を使った安価な白粉より肌が白く見えるかと言われたら見えないのは確かだ。
自分で使うのならともかく他人様が使うとなれば責任が取れないので、化粧品関係を売るのは止めた方がいいと結論付ける。
「・・・服か」
紗雪は市場を行き交う人々に目を向ける。
富裕層なのだろうか。
彼等が来ている服の質は良さそうだが、デザインは貴族街に住む貴族と比べたら型が古いというのが紗雪の抱く印象だ。
まぁ、貴族の衣装は流行り廃りが激しく、彼等は古くなった型の服を古着屋に売り、それを経済的に余裕がある平民が買って着るのだから当然と言えば当然なのかも知れない。
「そうよ!服を売ればいいのよ」
服は化粧品と違って【お肌のトラブル】が起こる可能性がないのだ。
ネットショップで売っている服が売れるかどうかなど分からない。
だが、飯のタネが決まった事で一安心した紗雪は、宿屋へと向かう。
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