追放された聖女の悠々自適な側室ライフ

白雪の雫

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④オケアドル王国の最期

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 マルガレーテが優雅な側室ライフという名のニート生活を送っている頃






 オケアドル王国では聖女がいなくなった影響が出始めていた。

 修道院における家事の全てはマルガレーテが引き受けていたのだが(名家出身の修道女達が押し付けていたとも言う)、彼女がいなくなった事により、修道女共がやらざるを得なくなってしまった。

 だが、元を正せばお嬢様育ちに炊事・洗濯・掃除・風呂焚き等といったメイドがしている仕事だけではなく畑を耕すなど出来るはずがない。

 彼女達はマルガレーテに対する呪詛を零しながら、本来は自分達がやらなければならない仕事をこなすしかなかった。

 マルガレーテのように高度な魔法を使えない修道女共は家事全般を己の身体を動かしてやるしかなく、日々の重労働は彼女達の清楚な美貌を損なわせるものとなる。

 教会には貴賤を問わず、怪我人や病人が連日連夜訪れるのだが、患者の治療を一手に引き受けていたマルガレーテがいなくなったのだ。

 しかも、修道女共だけではなく女教皇の魔力は某国民的RPGが基となっている少年漫画の主人公レベル。
 要するに小さな氷が作れたらいいところ(笑)なのだ。

 そんな彼女達に完全治癒という高度な魔法が使えるはずがない。

 教会にやって来た患者達に罵倒を受けるだけではなく、石を投げつけられては傷を負うという心身共に休まらない日々を送る羽目となる。






 マルガレーテがいなくなった事で瘴気が浄化されなくなった影響は王都だけではなく各地に出ていた。

 緑豊かな大地は荒れ、川の水が枯渇しはじめていた。

 それだけではない。

 田畑を耕しても、肥料を与えてもパンとワインを作るのに必要不可欠な麦と葡萄だけではなく、平民にとって命の綱とでもいうべき豆や野菜も実らなくなった上に重税が課せられたのだ。

 今こそ我等が立ち上がる時!
 聖女を追放した王家を倒せ!!

 各地では今まで貴族に虐げられていた平民による暴動が起こっていた。

 やがて、その暴動は革命となり、オケアドル王国の王侯貴族及び教会の関係者は断頭台の露と消え、新たな国家が築かれる事となる──・・・。








※マルガレーテがいなくなった後のオケアドル王国の状況は、積もりに積もった不満が爆発してフランス革命が起こった時期をイメージしているのですが上手く表現できませんでした。
〇ニマックスで放送していた時に録画していたあのアニメを消すんじゃなかった・・・。
あのアニメの放送に気付くのが遅かったので、最初から見れず録画したのは37か8話から最終回までの数話分だったけど。





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