追放された聖女の悠々自適な側室ライフ

白雪の雫

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①聖女、追放される-1-

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 「民にとって尊敬と憧れの象徴である聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って愛しのジュリエッタを虐め抜いた貴様の罪は許し難い!だが、幸いな事に私は慈悲深い性格をしているので処刑は好まぬ。よって、お前を国外追放とする!!!」
 今日はオケアドル王国の王太子であるレオナルドの生誕祭。
 聖女でありながらレオナルドの婚約者であるマルガレーテは、彼の一方的な宣言に思わず呆気に取られてしまっていた。
 「レオナルドさまぁ~。あたしぃ、怖かったですぅ~」
 男の庇護欲をそそるオーラを全開にしているジュリエッタ公爵令嬢が、エロ同人誌に出てきそうな100cm以上ある爆乳(KかLカップ)をレオナルドの腕に押し付けながら縋り付く。
 「ジュリエッタ嬢、恐がることはありませんよ」
 「そうだよ!何せ聖女の名を騙る性悪女は、オケアドル王国から消えるからね!!」
 「聖女・・・いや、元聖女のマルガレーテ。ここは、お前のような下賤な平民がいる場所ではない!今すぐ出て行くのです!!」





 大衆演劇でもお目に掛かれない三文芝居に対してなのか
 公爵令嬢でありながら乳輪が見えてしまいそうなくらいに大きく胸元を覗かせている下品なドレスを纏い、王太子だけではなく彼の側近達をも侍らせて、逆ハーレムとやらを築いている事に対してなのか





 色々ツッコミを入れたいのだが幸いと言うべきか、生誕祭の舞台である大広間には国王夫妻と女教皇の姿がなかった。
 「王太子殿下の仰せに従います」
 (やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた仕事って山ほどあるのだけど、若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
 この機会を逃せば、自分の一生は国王夫妻と女教皇をはじめとする欲深い貴族共の食い物にされる道しか残されていない事を知っているマルガレーテは出席者である貴族達が居並ぶ中、膝を折り頭を下げる。
 彼女のカーテシーは、洗練されているだけではなく優雅な気品さえ感じられた。
 ジュリエッタよりも貴族令嬢らしい物腰と振る舞いに見惚れている出席者達の視線を受けながら、マルガレーテはオケアドル王国から出奔する為、王宮を出て行くのだった。






※マルガレーテの父はハーフエルフ、母はハイエルフの王女にして次期女王。
結果としてマルガレーテはクオーターになるのだが、エルフの特徴の一つである耳は長くなく人間と一緒である。
ただ、自分が不在の間に弟が出来ちゃった為、後継者という立場から外れた。
そんなマルガレーテの魔法と魔力は「〇ラゾーマではない、〇ラだ」というセリフが似合う某大魔王様級。肉弾戦は転職した〇ァム級。
※マルガレーテの魔法・魔力・武術は某主人公の父親級。母の魔力と魔法はラスボス戦の〇ップ級。
※女教皇を中心とする教会関係者&王太子と取り巻き達の魔法と魔力は、某国民的RPGが基となっている少年漫画の初期の主人公レベル。要するに小さな氷が作れたらいいところ(笑)




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