ノスフェラトゥ

白雪の雫

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⑧ハーネット王国の滅亡-2-

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 「子供というのは、親の心の機微には敏感なのだな」

 「ええ。本当に驚いたわ」

 母の一言で心に抱えていた不安と恐怖が消えたのか、クリュライムネストラの膝を枕にして眠っているヴェルナードをレーヴェナードが子供部屋に運ぼうとするのだが、しがみ付いている息子がそれを阻止していた。

 「こうして甘えてくれるのは今だけだから・・・。それにヴェルナードの心を傷つけてしまったもの」

 今の自分がしている事は自己満足なのかも知れない。だが、自分はヴェルナードを愛している事を行動で示したいのだ。

 「ライム、何も不安がる事はない。自分が母親に愛されている事をヴェルナードはちゃんと理解している」

 その証拠にほら・・・

 レーヴェナードが指す先にあるのは、ヴェルナードの愛くるしい寝顔に浮かんでいる無邪気な笑み。

 「笑った。どんな夢を見ているのかしらね?」

 部屋の中は温かいとはいえ、このままでは身体を冷やしてしまう。

 レーヴェナードは自分が纏っているマントを外し、それを毛布の代わりとして我が子の上に掛ける。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆











 「我が君、王后様。ハーネット王国についてお話してもよろしいでしょうか?」

 「ええ」

 「確か、ライムの故郷は滅んだのであったな」

 「はい」

 レーヴェナードに促されたレオパルドは、イビルゲイザーにハーネット王国が滅亡していく様子を見せるようにと命じる。







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