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⑦真祖と聖女-2-
しおりを挟む「流石は王都」
「華やかで洗練されている」
道中で見かけた荷馬車に乗せて貰ったり、星を眺めながら野営したり、大きな町で泊まった宿屋で疲れを癒したり──・・・。
クローチェ大陸では見かけない獣を狩ろうとしたら追いかけられるといったトラブルはあったものの、王都・エーヴィッヒに到着したリオン一行は思わず感慨深げになる。
じゃあ・・・
「早速、色街に!」
「「「リオン!!!」」」
【右手がお友達】状態が続いて性欲が溜まっていたリオンは色街へ繰り出そうとするのだが、それを仲間である三人が『自分達にはやるべき事がある』と言って止めた。
「リオンさん。そんなに溜まっているのであれば、彼女達と楽しめばいいのでは?」
幸いな事に彼女達はリオンさんに想いを寄せているみたいですし、何よりプロと違って無料でやらせてくれますよ
クリュライムネストラに言われるまでもなく、リオンはメリーアン達が自分に好意を寄せているのは感じ取っていたが、パーティーという事もあるし、何より三人を平等に愛せるという自信がないものだから手を出せなかったのだ。
「まぁ、ここは不死者の居城がある王都ですから、私としてはシスター達を元に戻す手がかりとやらを見つけたら一刻も早く脱出する方が先だと思っているのですけどね」
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」
クリュライムネストラの釘を刺す一言に、四人は改めてここがどこで自分達の目的を思い出す。
自分達の故郷よりも文化的で洗練されていて都会的。
垢抜けている美男美女が多いという事実に浮かれていた事を反省した四人は王立図書館へと向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(王都の図書館であれば妖魔になった人間が元に戻ったという物語や神話があると思っていたのだけど・・・)
薬草・魔法・お伽噺等、思いつく限りのジャンルの本に目を通しているが、ヒントになるものはなかった。
王立図書館を出た五人は旧市街の宿屋を目指して歩いている。
「真祖であれば元に戻せるとか?」
英雄とメデューサ──真祖による吸血行為で妖魔にされてしまった女性との悲恋物語に目を通していた思い出したメリーアンが呟く。
「仮に真祖が妖魔になった者を人間に戻す薬を作れるとしても、術を知っているとしても、私達には人脈がないので会う方法がないのですよ?」
それに、真祖はサクリフィス大陸を治めている長・・・人間の世界で言えば国王や皇帝のような立場にあるのだ。
他国の、しかも彼等から見れば異種族の平民でしかない自分達と顔を合わせる機会などないのだと、クリュライムネストラがメリーアンの提案を一刀両断する。
「仮に薬や術で元に戻ったとしても、果たしてそれは彼女達にとって幸せなのでしょうか?」
サキュバスと化してしまった自分達が泡姫をしていたという事実が記憶に残っているのであれば、神に貞淑の誓いを立てているシスターにとって、人間として生きていく事に苦痛を覚えるのではないだろうか?
「私としては、彼女達を元に戻さない方がいいような気がするのですけどね」
「ライムさんって行動する前から否定するんだな」
「私はただ、色々な可能性を口にしているだけです」
険悪なムードが漂う中、占いに頼るのはどうか?とローズが提案してきた。
「当たるも八卦当たらぬも八卦だ!」
一筋の光明を見出したリオンは、占い師がいる店の聞き込みをし始める。
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