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「何て言うか・・・今日は色々あって濃い一日だったな~」

 総檜造りの湯船に一人で浸かっている私は、鬱陶しいと思えるレベルで伸びている髪の毛を切りたいわね~と心の底からそう思いつつ、今日の事を思い返していたの。

 前世は柔道の黒帯有段者だったエステティシャンの私が平安時代をイメージした育成シミュレーション要素のある乙女ゲームの世界の、しかもプレイアブルキャラの一人である藤壺の女御である燁子として転生(?)憑依(?)するなんて・・・これ、何て言う無理ゲー?と思っても不思議ではないわよね?

 ・・・・・・あっ!

 自己紹介が遅れました。

 私は新井 和葉。今の名前は燁子(5)です。

 さっきも軽く言ったけど、柔道の黒帯有段者で、とあるエステティックサロンで働いていたアラフォーの社会人だったのだけど、何で死んでしまったのか覚えていないわ。

 そんな私がどうして平安時代を舞台にしている乙女ゲームの世界に転生(?)憑依(?)してしまったのかが分からないのよ。

 幸いな事に、前世を思い出す前に身に付けていた大貴族の姫としての立ち居振る舞い等が自然に出来るから何とかこの世界で生きて行けるかも知れないわね。

 そうそう。

 私が燁子として転生(?)憑依(?)したかも知れないゲームについて軽く説明するわね。

【華の苑~後宮に咲き乱れる花々~】は左大臣家の長男にして大納言である成彰と式部卿の宮の娘である綾子を母に持つ燁子、右大臣である隆弘と受領の娘である道子を母に持つ桃子のどちらかを選択して后に相応しい淑女になるように育成、入内したらライバル達との戦いを勝ち抜いて中宮、そして我が子を帝位に就けて皇太后になる事を目指すゲームなの。

 ちなみに燁子と桃子という名前はデフォルト。

 だから、プレイヤーは【輝夜】とか【瑞姫みずき】とか【妃月ひづき】という感じに自分がこういう名前だったら間違いなく頭を抱えてしまいそうであっても、これはゲームだからという理由でプレイアブルキャラに付ける事も出来るわ。

 平安時代の女性が身に付ける教養って手蹟・和歌・音楽だけ、それから大貴族の姫に相応しい立ち居振る舞いでいいというイメージがあるでしょ?

【華の苑~後宮に咲き乱れる花々~】は女の戦いを描いたゲームだから、教養だけではなく体力と柔道に空手、合気道にプロレスといった武芸も身に付けないといけないの。

 何で屋敷に閉じ籠っているのが基本である平安時代の貴族女性が、そんなものを身に付ける必要があるんだ?と思うでしょ?

 私も初めてこのゲームをプレイした時はそう思ったわよ!?










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