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少女と吸血鬼の攻防戦-2-
しおりを挟む「!!?」
勢いよく起き上がった麗弥は、今ではもう日課と化してしまっている自分の首筋に目を向ける。
「よ、良かった~」
夢に出てきたイケオジに血を吸われてしまったのではないかと思ってしまった麗弥は、自分の首筋に傷がないという事実に安堵の息を漏らす。
「それにしても・・・」
見ず知らずのイケオジとファイト一発!した後、新婚旅行のベッドよろしく、散らされていた白い薔薇の花弁で処女だった証拠を示す鮮血を拭われるという夢を何日も前から繰り返して見続けている自分は欲求不満で、人に見られながら彼のようなおじ様に犯されたいという願望があるのかな?と、己の性的嗜好に対して一種の自己嫌悪を覚えていた。
ぐぅ~っ・・・
「・・・・・・悩んでいてもお腹は空くのね」
ふと壁にかかっている時計に目を向けると、六時半を過ぎたところだった。
「今日は休みだから・・・」
ベーコンエッグトーストでいいかな?
昨晩に見た某番組に出てきた朝食が美味しそうだったものだから、気分はすっかりベーコンエッグトーストになっている麗弥はキッチンへと向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おはよう、姉ちゃん」
「おはよう、達哉。朝ご飯、出来ているわよ」
朝食を作っている麗弥がいるキッチンに姿を見せたのは弟の達哉であった。
おっ?
「美味そう~」
いっただきま~す
部屋から出てきた達哉はまだ眠そうなのだが、テーブルの上にある豪華な朝食を見た事で完全に目が覚めたのか、席に着くなりベーコンエッグトーストをはじめとする料理を綺麗に平らげていく。
「ねぇ、達哉。父さんと母さんの姿を見ないのだけど、朝からどこか出掛けているの?」
休みであっても平日と同じように早起きを心掛けている両親が姿を見せない事に疑問を抱いた麗弥が達哉に尋ねる。
「姉ちゃん?今日はブラッド伯父さんが来日するから父さんと母さんが空港まで迎えに行っているんだけど・・・・・・」
「ブラッド伯父さん?!ブラッド伯父さんって一体何者なの!?」
「何者って・・・ブラッド伯父さんは母さんの兄さんだよ」
「母さんの兄さん!?」
自分達の母親は一人っ子で兄弟などいなかったはず。
「達哉、母さんに異父兄か異母兄がいたっていう話を聞いた事がある?」
「ブラッド伯父さんは母さんの実の兄だよ。姉ちゃんは伯父さんに懐いていたのにマジで覚えてないのか?!」
「覚えてないどころか、母さんに兄さんがいたなんて初耳よ!」
(そうだ!アルバム!)
赤ん坊の頃からの写真が貼っているアルバムを見れば、達哉の言っている事が嘘なのか、真実なのかが分かる。
アルバムを見る為、麗弥はリビングへと向かう。
(・・・・・・この人が母さんの兄だというブラッド伯父さん、なの?)
アルバムを手にしている麗弥の手が震えている。
写真に写っているのは、母親のルイーズと赤ん坊である自分を抱いている、モデルと言っても通用するくらいに整った容貌をしている黒髪の長身男性だった。
(わ、私・・・この人を知らない!いえ、違う!私はこの人と会った事がないけど知っているわ!)
麗弥にとって彼は初対面の人である。だが、同時に何度も顔を合わせている人物でもあった。
ブラッドは夢の中で自分を犯しながら血を啜っていた男だったのだ。
(それに、この人とは夢だけではなく、現実でも会った事があるような・・・・・・?)
「痛っ!」
写真に写っている伯父という人物を眺めている麗弥の頭に激痛が走る。
(何か・・・思い出しそう。でも、思い出したらいけない!)
頭の中に広がっている靄が晴れてしまったら最後。
上手く表現出来ないが自分が自分でなくなるような──・・・二度と這い上がる事が出来ない深い闇に堕ちていくような気がしてならない麗弥はブラッドと会うのを避ける為、部屋に戻ろうとするのだが、タイミングがいいのか悪いのか、空港に行っていた両親が伯父と共に西野家に戻って来たのだ。
「麗弥!」
(私、やっぱりこの人と会った事がある・・・?)
「嫌っ!」
大人と子供の狭間にある年頃にしかない、儚さと妖しい魅力を持つ美しい少女へと成長していた姪にブラッドは親愛の情を全身から溢れさせて抱き着こうとするのだが、そんな伯父から逃れるように悲鳴を上げた麗弥はリビングを出て行く。
「ブラッド君、済まない!麗弥は後で叱っておくよ」
「構いませんよ、裕司さん。私があの子と会ったのは物心が着く前ですよ?麗弥が覚えていないのも当然ですから、叱らないで下さい」
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