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少女と吸血鬼の攻防戦-1-
しおりを挟む現代風に言えば、イケオジな男性が我が子と言ってもおかしくない若い娘を衆人環視の中、組み敷いていた。
二人には人前で自分達の色事を披露する趣味などないのだが、これは妖魔を束ねている長の花嫁となる少女が【生娘】である事実を証明する為のものであるが故に避けて通る事が出来ない儀式なのだ。
「お、おじ様・・・」
男は人間ではなく吸血鬼と呼ばれる生物である事を少女は知っているのだが、幼い頃から慕っている存在に抱かれて女としての快楽と歓びを感じているからなのか、彼女は甘さを含んだ声で喘ぎながら彼の想いに応える。
「麗弥、私の事は・・・おじ様、ではなく・・・ヴァールゼルブ、だ」
自分の事を名前で呼ぶように艶を含んだ声で催促するヴァールゼルブは、麗弥から与えられる快楽に酔い痴れながらも激しく突き上げていく。
「ヴァール、ゼルブ・・・様」
愛する男と一つになれた喜びなのか
破瓜の痛みからなのか
人でありながら人として生きる事が出来ない悲しみなのか
少女の胸に去来しているのは、それら全てかも知れない。
或いは違うのかも知れない。
「ヴァールゼルブ・・・」
(私は・・・)
閉じ込めるように抱きしめている男の背中に爪を立て、肌を赤く染めながら名前を口にしている麗弥は、何も知らない子供だった頃の自分に別れを告げるかのように静かに涙を流す。
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