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⑤エピローグ

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 「その後はお約束なのかどうか分からないけど、冒険者のパーティーと出会った私は彼等と共にリテラという町に向かい、そこでアイテムショップを開く事になったのよね」

 地球の商品を取り寄せる事が出来るネット通販というスキルがなかったら、私は野垂れ死にしていたでしょうね
道中、冒険者パーティーに料理を振る舞ったり、彼等に実年齢を打ち明けたら『二十八だって!?嘘だろ!?』と驚かれたり、ゴミを処理する為だけにスライムをテイムしたり──・・・。

 過去を思い出していた咲夜の耳に扉に取り付けているベルの音が入って来る。

 これは、誰かが来た事を告げる音だ。

 「いらっしゃいませ」

 「店主、保存食の詰め合わせはまだあるのか?」

 「はい、ありますよ」

 「それを一つ・・・いや、二つ頼む」

 「はい」

 硬貨が入っている箱をカウンターに仕舞った咲夜は、客としてやって来た冒険者を笑顔で出迎える──・・・。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










おまけ

 咲夜に別れを告げた次の日に賢児は里菜と入籍した後、結婚式を挙げた。

 七ヶ月後

 里菜は男児を産んだのだが、その子は金髪碧眼だった。

 どう考えても自分の子供ではない。

 騙されたと気が付いた賢児は妻を責めたのだが、里菜は悪びれる事なく『マイクは大きくてあたしを気持ちよくさせてくれる。その点あんたは粗チン(注意:日本人としては平均的な大きさである)な上に下手だけど稼ぎがいいからね。ちなみに、その子はあんたにあげるわ。それと財産分与としてあんたの貯金を半分貰うわね。あと、慰謝料の五百万円と養育費として月十万の支払いをよろしく』と煙草を吹かしながら言い放った後、夫と子供を捨てて家を出て行ってしまう。

 里菜にとって自分はATMでしかなかったという事実に傷ついた賢児は元妻の実家に子供を預けた後、咲夜とよりを戻そうと彼女の実家へと向かった。

 だが、麗香から咲夜が死んだ事を聞かされた賢児は力を落として待つ者が居ない我が家へと戻るのだった。









咲夜が経営するアイテムショップにやって来た客達が保存食に石鹸、化粧品に感動したり、貴族子息にして王国騎士であるフェルディナンドと恋愛関係になったり、徒手空拳で吸血鬼やメドゥーサといった人型の怪物を倒そうとするハンターにツッコミを入れたり、【エルフ至上主義】を掲げているエルフは他種族を見下しているので人間やドワーフ等を玩具として弄んだり甚振ってボロボロになった彼等をゴミとして処理している。
そんなエルフをアンジェリクの依頼で咲夜がエルフの国を滅ぼしたり、生き残ったエルフを玩具やサンドバッグとして自由に使ってもいいよ~って感じで奴隷商人に売り渡して大金を得る話、アンジェリクの采配(?)でリテラに転生した賢児が再会した咲夜とよりを戻そうと言い寄る、『自分てめぇが捨てた女は俺の婚約者だ』という感じでフェルディナンドが咲夜を賢児から護る話等も考えたのですが、長くなりそうなので書くのを断念しました。











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