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③咲夜と女神
しおりを挟む新幹線とローカル線に乗る事、数時間
空の色は澄んだ青、大地と山の匂いを含んだ風、空気はどこまでも清くそして澄んでいる。
「駅の近くには大型のショッピングモールやホームセンターが建っているから意外と開発が進んでいるのね・・・」
高校卒業と同時に出た故郷の景色は随分と様変わりした。
それでも自分が育った生まれ故郷は懐かしさを覚えるものである。
どことなく趣と情緒を感じさせる買い物客で賑わっている市場を歩きつつ、クレープやコロッケを買い食いしていた小学生時代を思い出しながら咲夜は実家兼店舗である純喫茶フルムーンに向かっていた途中、命を落としてしまった──・・・。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「・・・・・・ここは、あの世と呼ばれている場所なのかしら?それとも異次元?」
自分は確か実家へと向かっていたはずだ。
それなのに何故このような場所に居るのだろうか?
咲夜の目の前に広がっているのは、オーロラに覆われた空間だった。
「違います。ここはあの世でも異次元でもありません。銀河の狭間と呼ばれている場所です」
そんな咲夜の疑問に答えるかのように、ギリシア神話に出てくる女神の衣装を纏っている女性がオーロラに覆われた空について教える。
「銀河の狭間?」
「ええ、世界は一つではなく幾つも存在している。日本人として過ごしてきた熾天使である貴女には異界や異世界、多元宇宙と言った方がしっくりするのかも知れませんね」
ここは人間が魂にでもならない限り、来る事が出来ない場所
貴女は人間ですが、同時に天使の血も流れています。そのおかげで魂をベースに生前と同じ姿で肉体の再構築は出来ました
本来の姿になっても大丈夫ですよ
「貴女は一体・・・?」
(私を熾天使と見抜いたという事は、彼女は天使よりも上位の存在という認識でいいのかしら?)
普段の自分は典型的な日本人女性の姿に変身しているし、三対の巨大な翼だって表に出さないようにしている。
咲夜にとって偽りの姿でいるより、本来の姿でいる方が遥かに楽なのだ。
「私はアンジェリク。リーヴェという世界を創った女神です」
「自己紹介が遅れて失礼いたしました。私は望月 咲夜と申します」
本来の姿に戻った咲夜は、自分を銀河の狭間と呼ばれる場所に招いた(?)理由をアンジェリクに尋ねる。
「それは・・・」
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「申し訳ございません!」
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