ゲームと現実の区別が出来ないヒドインがざまぁされるのはお約束である（仮）

1話

　昔々、ある国の教会で若葉色と海のように鮮やかな青い瞳を持つ修道女が祈りを捧げていました。

　彼女の祈りは人々を癒し、穢れを浄化して大地に実りを齎すからなのか、或いは祈りを捧げる姿が神秘的で美しかったからなのか、何時しか民達は修道女の事を『聖女』と称えるようになりました。

　民達が教会で祈りを捧げていたある日、妖魔の王が教会を襲い祭壇で神の教えを説いていた聖女を攫ったのです。

　妖魔の王に身を穢された聖女は自ら命を絶とうとしたのですが、自分で自分を殺す事は神の教えで禁じられています。

　生きている事に絶望した聖女はやがて───。










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 「このエピソードが、あたしが妖魔の王達に溺愛される全ての始まりなのよね～」

　ゲームの画面を目にしているピンク色の髪の少女が呟く。

　そういえば自己紹介がまだだったわね♡

　あたしの名前は篠原　真莉愛（16）

 【ローズマリア～妖魔の王は月の下もとで愛を請う～】という乙女ゲームの、超絶美少女なヒロインに転生した元社会人よ♡

　まずはこのゲームについて説明するわね。

 【ローズマリア～妖魔の王は月の下で愛を請う～】は、満月が赤い時に神隠し伝説がある黒竜池に仲のいい友人達と肝試し感覚で行ってしまったヒロインがエレメントアースという異世界にトリップするところから始まるの。

　もちろん日本人が異世界トリップしたらチートが与えられるのはお約束よ♡

　チートのおかげであたしこと真莉愛は妖魔の王に興味を持たれてしまうの♡

　このゲームは恋愛乙女ゲームだから攻略対象者が居るわ♡