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しおりを挟む「そこでだ!事業で成功しているお前が私の子供を身籠っていた事を思い出したんだ。子供にとって父親は必要だろ?これからは親子三人で一緒に暮らそうではないか!!!」
「は?」
女の敵の言い分に思わず間の抜けた声を上げた私は悪くありませんわよね?
貴方・・・自分の子供は愛するエリナとの間に出来た子供で、私との間に出来た子供は不要だから堕ろして欲しいと仰っていませんでした?
女の敵がそう仰ったからこそ、私は「子供が出来にくくなる。もしかしたら、二度と子供が産めないかも知れない。それでもいいのか?」と、医者からきちんと説明を受けた上で堕胎手術を受けたのですよ
女の敵は私との間に出来た子供を認めないし、私は女の敵との間に出来た子供に愛情を注げない
結果として不幸な子供が産まれる事を防げたのですから結果オーライだと、笑顔で語る私を女の敵は何か得体の知れないものを見る目つきで見ています
「子供に対して無条件に愛情を抱くのが女ではないのか!?それなのに赤子を堕ろしただと!?お前には人の情というものがないのか!!!」
・・・・・・それ、女の敵が口にするに相応しいセリフなのでしょうか?
女が無条件で子供に対して愛情を抱くというのは幻想だと思うのですけどね
私だって愛する人・・・トラヴィス様との子供であれば無条件で愛情を注ぐ事が出来たでしょう
ですが、父親が女の敵という事実だけで私はお腹の子供に対して何も抱けなかったのですよ
「こ、殺してやる!ティアナ、お前を殺してやる!!」
事業で成功しているというセリフで女の敵が、私個人が所有する金銭目当てでよりを戻そうとしている事を察していた私は自分に殺意を向けている女の敵を仕留めるべく身構えたのですが、そこに私にとっての白馬の王子様・・・トラヴィス様が颯爽と現れて助けて下さったのです
今でこそジュエリーデザイナーですが、昔は戦場で活躍していただけの事はあります
たった一撃でトラヴィス様は女の敵を沈めてしまったのです
ゴリマッチョな見た目に反して繊細な心を持っているトラヴィス様は、女の敵に襲われそうになった私の事を案じて下さいました
昔は人妻だったとはいえ今の私は独身
そんなトラヴィス様に込み上げてくる愛しさを抑えきれなくなってしまった私は・・・淑女としてはしたない行為だと分かっているのに自分から抱き着いてしまっただけではなく、ずっとお慕いしていた事を告白したのです
「ティアナ殿・・・私は幼い頃の熱病が原因で子種がないのだ。貴女のように若くて美しい素敵な女性に私のような男など相応しくない!」
「トラヴィス様・・・私も貴方と同じ。私も子供が出来にくい・・・いえ、子供を産めない身体になっているのかも知れません。私達、お似合いではありませんか?」
「オーナー・・・ヴァルゴ公爵・・・」
従業員の言葉で、今の自分達がどこに居るのかという事に気が付いた私達の顔は・・・赤くなっていました
鼻が別の方向に曲がり前歯が数本折れてしまった女の敵を憲兵に引き渡した事で、この出来事は解決しました
その後、日を改めてトラヴィス様から告白されてお付き合いをする事になった私が愛する喜びと愛される喜び、そして女としての悦びを知る事になるのは別の話です
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