メイドは見た

3話

 『お前達、今すぐ私とケリーの身体を洗ってくれ。これは次期公爵たる私の命令だ』





　次期公爵は粗チンな貴方ではなく、ミーシャお嬢様なのですが？

　粗チンはあくまで婿養子であって公爵になれないのですけどね～？

　貴族であれば誰かに説明されなくてもそれくらいの事が分かるのに、どうして粗チンは自分が次期公爵だと思っているのでしょうね～？

　公爵家ではメイドとして働いている私達だけど･･･

　18禁のBLを描いている腐女子だけど！

　一応子爵家の令嬢だからね。

　初心な乙女が男の裸を見たらこうするという反応･･･つまり掌で顔を隠して恥じらいながら部屋を出た腐女子仲間は、二人がエロ同人誌な事をしていた事を旦那様と奥様、そしてミーシャお嬢様の元に報告しに行ったわよ！

　ちなみに私は粗チンが証拠隠滅をしないようにちゃんと見張っていたわ！

　そんな私と粗チン達が居る部屋に旦那様と奥様、そしてミーシャお嬢様がやって来たのだけど･･･。

 「小っさ！大人なのに小指の第一関節しかないとは！」

 「しかも皮を被っているなんて･･･」

 「お気の毒に･･･」

　粗チンの粗チンを見てしまった旦那様達の第一声がそれだったわ。

 「旦那様、奥様、ミーシャお嬢様･･･」

　私は粗チンがケリーという男爵家の令嬢と出来ている事と、公爵になるのは自分だと粗チンが勘違いしている事を伝えたの。

　私の話を聞いて溜め息を漏らした後、旦那様と奥様は小さな子供でも分かるように、公爵になるのは娘であるミーシャであって娘婿になる予定であったランディはどう足掻いても公爵になれない。

　しかし、ミーシャとランディとの間に出来た子供は公爵家を継げる事を粗チンに説明したわ。

　旦那さまと奥様の話を聞いた事でようやく自分達の状況を理解したランディ様･･･彼の事はもう粗チンでいいわね。

　粗チンとケリーの顔からは血の気が引いて青･･･ではなく、締め切り前なのにネタが浮かばなくて何も描いていない原稿用紙のように真っ白になっていたの。