魔王として討伐されるはずだった私は異世界人のアドバイスで幸せになります

白雪の雫

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7話

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「シオン様、ミサト様、ギンガ様。やはり【にじゅういっせいき】の菓子は美味であるな♡」

「・・・・・・・・・・・・」

 生クリームとカスタードクリームを挟んだ出来立てのワッフルを食べているマリーアントニアの姿に、学校から帰って来たばかりの銀河は呆気に取られている。

「お、親父?お袋?何でマリーアントニアが朝霧家ここに?」

「シャンプーとコンディショナー、ヘチマたわしと石鹸、ヘチマ化粧水とクリーム、ファンデーション、竹炭を買いに来たの」

 何でも自分達が使う分と、自分で立ち上げた小さな店の目玉商品としてマリーアントニアは購入しているのだそうだ。

 マリーアントニアが買い出しに訪れるのは今回が初めてではなく、銀河が学校に行っている間とかに何度も朝霧家を訪れているのだとそう言った美沙都が、数箱分の段ボールに詰めておいた荷物と革袋に入っている金貨と装飾品を銀河に見せる。

「貴金属店とアンティークコイン専門店で見て貰ったのだけど、マリーアントニア殿が化粧品等を購入する為の対価として持って来る金貨は一枚で二十から三十万くらい、ペンダントやブローチといったアクセサリーは物にもよるけど百万以上はするのですって」

「魔王というか貴族令嬢が大量買い出し・・・」

 何かシュール~

 自分と父ならともかく、貴族令嬢があれだけの荷物を持つ事が出来るのだろうか?

 買い物って家政婦・・・というか召使いにさせる仕事ではないのか?と銀河は思うのだが、紫苑と美沙都曰く、朝霧家を訪れる事が出来るのはマリーアントニアだけであるらしい。

「ミサト様が用意してくれる化粧品のおかげであたくしの肌は調子が良いし、この通り・・・身体も髪も清潔になったのだ!!!」

 入浴と洗髪を毎日する事で初めて出会った時よりも綺麗になった自分を見て欲しいと言わんばかりに、マリーアントニアが銀河の前で髪をかき上げる。

「あたくしは石鹸等を買いに来ただけではないのですよ。皆様に感謝と、無事にミッシェル様と婚約破棄出来た事を伝えたい。何より!あの時の聖女様達の顔を思い出しただけで・・・笑いが止まらくなってしまってのぅ・・・。一刻も早くそなた達にその時の話をしたくて堪らぬのだ!」

「聖女達の話、ですか?聞くだけでよければお聞きしますよ」

「感謝する」

 ミルクティーで喉を潤したマリーアントニアは語り始める。











※ゲームと設定資料集では語られていないけど、イケメンイケボなミッシェルを含む攻略対象者達は典型的なアホボンでギャンブルと女漁りは当たり前+恋愛スイーツ脳+脳内お花畑です。でも魔力や身体能力は高い。
国王の命令でミッシェルと婚約したマリーアントニアは立派な君主になって欲しいと諫言を繰り返していたのですが、ミッシェルはマリーアントニアを将来の王妃という地位と金に目が眩んだ女でしかなく疎んじていました。
そんな時に行われたのが聖女召喚。
自分を否定せず甘やかしてくれる清華に夢中になり、攻略対象者達は聖女への説教を虐めや殺人未遂として婚約者を断罪する。そして魔王として蘇った元婚約者を聖女パーティーが討伐する。
これがゲームの本筋となります。








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