魂の花

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
9 / 10

王妃になった男爵令嬢-9-

しおりを挟む










 一国の王太子が男爵令嬢を愛妾ではなく妃として迎えようとしている事に国王夫妻は反対したが、博学多才で立ち居振る舞いに礼儀作法等、全てにおいてスピカは完璧だった。

 素質は王太子妃として相応しくても問題は後見人である。

 後見について話し合った結果、嘗ての婚約者であるヴィンフリーデの実家である公爵家の養女として迎え入れる事で解決したので、晴れてスピカは学園を卒業後、王太子妃になった。

 そこまではいい。

 だがそこでスピカに誤算が生じた。

 王太子妃になる=周りがチヤホヤする=贅沢が出来るという理屈でハンターから貰った薬を飲んでヴィンフリーデとスキルを入れ替えたまでは良かったものの、どこそこの国の王太子夫妻と外交を兼ねた会食だの、孤児院や病院施設の訪問だのという風に多忙な日々を送っているのに、周囲からは世継ぎとなる男子を産めと無言にして遠回しな圧力を受けているのだ。

 しかし産まれたのは王女だったものだから、王子を産めないスピカは王太子妃に相応しくなく、新たに側妃を迎えるべきだという声が周囲から上がっている。

 それだけではない。

 薬を飲んだ日からスピカは美容とお洒落には人一倍の努力はするが、王太子妃として情報を仕入れたり、言語を覚えるといった努力を何一つしていないのだ。

 つまりスピカは自国のみならず他国の王侯貴族との会話についていけなくなっていたのだ。

 国王夫妻から王太子妃失格の烙印を押されたスピカは病に罹ったという理由で離宮に追いやられ、アーデルベルトは新たに高位貴族の令嬢を側妃として迎え入れる事となった。

 アーデルベルトは側妃との間に優秀な子供達を儲けただけではなく、側妃だった令嬢を正妃とし穏やかな生涯を送る事になる。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

俺がいなくても世界は回るそうなので、ここから出ていくことにしました。ちょっと異世界にでも行ってみます。ウワサの重来者(甘口)

おいなり新九郎
ファンタジー
 ハラスメント、なぜだかしたりされちゃったりする仕事場を何とか抜け出して家に帰りついた俺。帰ってきたのはいいけれど・・・。ずっと閉じ込められて開く異世界へのドア。ずっと見せられてたのは、俺がいなくても回るという世界の現実。あーここに居るのがいけないのね。座り込むのも飽きたし、分かった。俺、出ていくよ。その異世界って、また俺の代わりはいくらでもいる世界かな? 転生先の世界でもケガで職を追われ、じいちゃんの店に転がり込む俺・・・だけど。

人見知り転生させられて魔法薬作りはじめました…

雪見だいふく
ファンタジー
 私は大学からの帰り道に突然意識を失ってしまったらしい。  目覚めると 「異世界に行って楽しんできて!」と言われ訳も分からないまま強制的に転生させられる。 ちょっと待って下さい。私重度の人見知りですよ?あだ名失神姫だったんですよ??そんな奴には無理です!!     しかし神様は人でなし…もう戻れないそうです…私これからどうなるんでしょう?  頑張って生きていこうと思ったのに…色んなことに巻き込まれるんですが…新手の呪いかなにかですか?   これは3歩進んで4歩下がりたい主人公が騒動に巻き込まれ、時には自ら首を突っ込んでいく3歩進んで2歩下がる物語。 ♪♪   注意!最初は主人公に対して憤りを感じられるかもしれませんが、主人公がそうなってしまっている理由も、投稿で明らかになっていきますので、是非ご覧下さいませ。 ♪♪ 小説初投稿です。 この小説を見つけて下さり、本当にありがとうございます。 至らないところだらけですが、楽しんで頂けると嬉しいです。 完結目指して頑張って参ります

エデンの向こう側

るりあん
ファンタジー
第1章 創世記に関連してのあれやこれや 第2章 完全であるはずなのに今ひとつ満たされない天士の苦悩 第3章 なんとなく恋愛っぽい要素も入ってきたり 世界のサポーター 天士(てんし)たちの日常を適当に綴ったオマージュ的物語。気になる章から読んでいただいても、よろしいかと。 ※有名な神や天使の名前が出てきますが、この物語はフィクションです。

解放

かひけつ
ファンタジー
ある少年は、抗った。 謎の施設。謎の検査。謎の生活。 頭が狂いそうになりながらも施設から出る方法を模索する。 使えるものを活かした反抗計画とその結末は……。 ある科学者は悩んだ。 時折、無力感や後悔の念が身を焦がす。 利口が故に、自己嫌悪に陥ってしまう。 悩みぬいた末に出した結論は……。 ある貴族は覚悟を決めた。 貴ばれる血族であるが故のプライド、 それ相応とは言い難い重しをつけさせられる。 一家を背負い込む覚悟を、世界を調和させることを……。 あるモノは、嘆いた。 自由にはなれない……。 そう思わせる程、管理されてしまった世界。 ここには情すら……ないのかもしれない……。 諦めかけていた、でも、希望が見えた気がした……。 その希望は現状を打開し、解放してくれるのだろうか?

株式会社デモニックヒーローズ

とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
今の人生に君は満足しているか? こんな人生で本当に良いのか? そう囁く声がある。 それは身の内から響く声だ。 己の願いだ。欲望だ。渇望だ。 何かが変われと願う男の元に現れたのは、新しい世界への扉だった。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...