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王妃になった男爵令嬢-4-
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「おや?私の館に人間が迷い込むなんて珍しいですね。・・・そうか、今日は満月でしたか。ここは絶望、欲望、野心、不満等・・・何かしらを心に抱えた者が満月の夜にしか来る事が出来ないのですよ」
スピカの目の前に現れたのは漆黒の髪に青く澄んだ空───いや、湖のようにも海のようにも思わせる色の瞳、そして人間離れした美貌を持つ男性だった。
「君には私が男に見えるのですね」
「え~っと・・・貴方は何者なのですか?」
アーデルベルトもイケメンだが、目の前に立っている男性の方が遥かにイケメンだった。
しかも心の底から畏敬の念を抱かずにはいられない威厳というものが男性にはあったものだから、流石のスピカも男に対しては丁寧な言葉で話す。
「私が何者なのか・・・ですか?その問いに答えるのは難しいですね。私は、今の君が私という存在を知覚する為に形作られた存在と言えば分かるでしょうか?」
「分かるはずがないでしょ!」
男の言葉が理解出来ないスピカは声を荒げて言い返す。
「そうですか・・・。私が青年に見える者はハデスに死神にロキ、娘に見える者はペルセポネにヘカーテにティアマト、老翁に見える者はマーリン、老婆に見える者は魔女と呼んだりします」
そういえば私にはハデスや死神以外にも色々な呼び方があるのですよ
ある者は天使とも悪魔、ある者は運命を意味するフェイト、ある者は操り人を意味するメストレ・デ・マリオネッテスとも呼んでいましたね
「何て呼べばいいのか分からないわ」
ふむ
「そうですね。ならば私の事は・・・狩る者を意味するハンターと呼んで下さい」
「分かったわ。ねぇ、ハンターさん。ここは一体どこなの?」
「先程も言いましたが、ここは絶望や野心・・・何かしらを心に抱えた者が満月の夜にしか来る事が出来ない館です。私の館に来る事が出来た事というは、貴女は何かに絶望しているか満たされない欲望を抱いているという証左ですよ」
話して頂けますね?
穏やかな笑みを浮かべているのに、有無を言わさない男の静かな気迫に負けてしまったスピカは自分が抱えている野心を打ち明ける。
※ハンターさんは某少年漫画に出てくる宇宙開闢に関わっている時の神のような存在だと思って下さい。
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