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⑩告白された・・・ので逃げる-2-
しおりを挟む(やはりナオミ殿のマッサージは気持ち良いな・・・)
奈緒美の手が触れる度に首から肩の筋肉の緊張が解れ、その度に流れ込んでくる魔力は彼女の心の在り方を示すかのように、全てを癒すかのように優しく心地良いものだった。
(ディーフリードさんの肩、本当にこっているわね)
オイルを使って鎖骨のリンパ節もマッサージしたいのだが、今回は無理なのでディーフリードの様子を窺いながら顎の周りのリンパ節をマッサージしていく。
「終わりましたよ」
「・・・何だか肩が軽くなった!ナオミ殿、感謝する」
腕を振り回した時に首から肩の辺りが軽く感じたものだから、ディーフリードは奈緒美に礼を口にしたと同時にある言葉を紡ぐ。
「ナオミ殿・・・その、ナオミ殿のマッサージを受けるようになってから身体の調子が良くなったのだ。だから、礼の意味も込めて今日の夕食に誘いたいのだが・・・」
「・・・・・・・・・・・・・あ゛?」
ディーフリードの言葉に奈緒美が思わずドスの含んだ声を上げる。
(この人、馬鹿にする前提か罰ゲームで私を食事に誘っているのよね!?)
元カレとの初デートで気合を入れたのはいいが、開口一番『メスゴリラがゴスロリってどんなホラーだよ!』だったのだ。
まぁ当時は愛美に自分を磨くという事を教えて貰っていなかったし、身近にいる男の娘な陽一を手本にしていたのでマーメイドラインやチャイナドレス、マスキュリンが似合う奈緒美にガーリーなゴスロリが似合わないのは当然であり真理だから元カレのホラー発言が今になって理解出来る。
「・・・・・・ナオミ殿?」
「お断りします!!!」
ディーフリードさんが私を食事に誘ったのは、仲間内による遊びか罰ゲームに決まっているわ!!!
気合を入れて待ち合わせ場所にやって来た私の前に現れたディーフリードさんの仲間達が【ドッキリ】のプレートを掲げて『ドッキリ大成功!!』って言うのよ!!!
繰り返すが元カレとディーフリードは別人である事も、性格だって後者の方がいい事くらい奈緒美は分かっている。
しかし、元カレからの発言によるトラウマが癒されていないのか、プライベートでのお誘い=自分をからかう為のゲームという被害妄想を奈緒美は抱いてしまうのだ。
「違う!ナオミ殿が言っている罰ゲームやドッキリ大成功が何なのか分からないが、俺は純粋にナオミ殿と食事をしたいから誘った!!!」
「・・・・・・・・・・・・本当?」
「本当だ!」
(俺・・・何かナオミ殿に疑われるような事をした!?)
喧嘩上級者のメンチ切りしている奈緒美の姿に、王族として表情を表に出さないように鍛えられているはずのディーフリードは顔を引き攣らせていた。
「・・・・・・・・・・・・分かりました。今日の夕食はディーフリードさんとご一緒いたします」
それと謝って済む問題ではないですが、ディーフリードさんの厚意を疑ってごめんなさい
「俺の誘いを受けてくれて嬉しい」
(ディーフリードさん・・・遊びや罰ゲームとかではなく本当に純粋な思いで私を誘ったんだ)
嬉しそうな顔をしているディーフリードを見た奈緒美の心に痛みが走ると同時に何かが込み上げる───。
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