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③飯テロをしますかね~?-2-
しおりを挟む「ナオミさんって器用なんだね」
皮を剥いて乱切りにしたジャガイモと人参と玉ねぎ、ハーブソルトと胡椒を振りかけたビッグラビットの肉をフライパンで炒めている奈緒美の手際の良さにアデライトが感心した声を上げる。
「両親が共働きだったので、仕事から帰って来た両親が少しでも楽が出来るように、料理と片付けはしておいた方がいいと思って子供の頃から兄と家事を分担していましたから」
「ナオミさんも苦労したんだ~」
見た目が絶世の美女で丁寧口調だから奈緒美の事を良家のお嬢様だと思っていたシンディーは、意外だと驚きの色を含んだ声を上げる。
「出来ましたよ」
一人につき一つのパン、ビッグラビットの肉を盛り付けた皿、湯を注いだだけのインスタントスープが入っているカップを四人の前に置いていく。
「「美味そう~」」
「「美味しそう~」」
不味い携帯食、黒パンとチーズが食べられたらいい方で、こうして出来立ての温かい料理を野営時に食べられるという事は冒険者にとって贅沢なのだ。
「いただきます」
手を合わせた奈緒美と食事前の祈りを捧げたバーナード達は料理を口に運んでいった。
「う、美味い!ビッグラビットの肉だけだと淡泊なのに塩と胡椒で味をつけた事で食を進めるんだ」
「このパン、柔らかくて仄かに甘味を感じるぞ!」
「野菜の旨味とコクがある温かいスープを飲んでいると心が落ち着くわ」
(ウサギの肉って食べた事がなかったけど、何となく鶏肉に似ているから食べる事が出来るわ。次はシチューのように煮込み料理の方がいいかも知れないわね)
奈緒美は奈緒美で、自分が作った初めての異世界料理を堪能するのだった。
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