愛する人を護る為、男の娘な王子はゴリマッチョになりました。が・・・

白雪の雫

文字の大きさ
上 下
3 / 6

3話

しおりを挟む










 グリーンローズ公爵夫妻とユミル、ロキ、そして当事者であるヒルデガルトは、ガブリエルの妃に迎える事を承諾してくれた。

 その代わりに公爵家サイドは国王夫妻とミカエルに対してある条件を提示する。





 ・ヒルデガルトがガブリエルと離縁する事になったら、王家はそれをすぐに認める

 ・離縁となったらガブリエル有責とし、慰謝料は一括で支払う事

 ・この条件は婚約が白紙になった時も同様とする





 「相分かった。グリーンローズ公爵よ、国王の名においてそなた達が出した条件を認めよう」

 グリーンローズ公爵家にとって自慢に娘であるヒルデガルトが、自分達ですら手を焼いている問題児の嫁(?)になってくれるかも知れないのだ。

 まだ不安は拭えないが、それでも肩の荷が下りたからなのか、国王夫妻と王太子は胸を撫で下ろす。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 「父上?母上?私の気のせいでしょうか?ガブリエルの女の子化が進んでいるように見えるのですが・・・?」

 ヒルデガルトをエスコートするどころか、彼女にエスコートされている姿を目の当たりにしてしまったミカエルは、思わず顔を引き攣らせるしかなかった。

 「ヒルダちゃ~ん♡今日も格好いいね♡まるで僕だけの王子様みたい♡」

 「恐れ入ります。ガブリエル殿下」

 そう言ったヒルデガルトはガブリエルに手を差し出す。

 (((僕だけの王子様?いや、王子様はお前やん!!!)))

 国王一家がガブリエルの台詞に対して心の中でツッコミを入れる。

 婚約したのだから仲を深めた方がいいだろう。

 そう考えた国王一家はヒルデガルトを王宮に招待し、身内だけのお茶会を楽しんだ。

 その後、ガブリエルとヒルデガルトは庭園を散策している。そこまではいい。

 この婚約はガブリエルを男らしくする為のものという一面がある。

 その事を知っているヒルデガルトは男物の衣装を纏って王宮に来たのだ。そうする事でガブリエルの中にある男としての本能が目覚めると思ったから。

 余談であるが、王宮の侍女達は男装した彼女を見て『ヒルデガルト様~♡』と瞳に♡を浮かべながら黄色い声を上げていたりする。

 だが、ヒルデガルトの気遣いはガブリエルにとってマイナスに働いてしまった。

 ガブリエルは、彼女を妃ではなく自分を護ってくれる王子様と認定してしまっただけではなく増々女の子として磨くようになってしまったのだ。








 ヒルデガルトが男で、ガブリエルが女として生まれていたら何の問題もなかったんじゃね?と、国王一家が悶々と悩んでいる日々を送る中、兵士の一人から衝撃の事実が知らされる。





 侍女と共に城下に出掛けていたガブリエルが山賊に攫われた──・・・。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

せっかくですもの、特別な一日を過ごしましょう。いっそ愛を失ってしまえば、女性は誰よりも優しくなれるのですよ。ご存知ありませんでしたか、閣下?

石河 翠
恋愛
夫と折り合いが悪く、嫁ぎ先で冷遇されたあげく離婚することになったイヴ。 彼女はせっかくだからと、屋敷で夫と過ごす最後の日を特別な一日にすることに決める。何かにつけてぶつかりあっていたが、最後くらいは夫の望み通りに振る舞ってみることにしたのだ。 夫の愛人のことを軽蔑していたが、男の操縦方法については学ぶところがあったのだと気がつく彼女。 一方、突然彼女を好ましく感じ始めた夫は、離婚届の提出を取り止めるよう提案するが……。 愛することを止めたがゆえに、夫のわがままにも優しく接することができるようになった妻と、そんな妻の気持ちを最後まで理解できなかった愚かな夫のお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25290252)をお借りしております。

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

処理中です...