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3話
しおりを挟むグリーンローズ公爵夫妻とユミル、ロキ、そして当事者であるヒルデガルトは、ガブリエルの妃に迎える事を承諾してくれた。
その代わりに公爵家サイドは国王夫妻とミカエルに対してある条件を提示する。
・ヒルデガルトがガブリエルと離縁する事になったら、王家はそれをすぐに認める
・離縁となったらガブリエル有責とし、慰謝料は一括で支払う事
・この条件は婚約が白紙になった時も同様とする
「相分かった。グリーンローズ公爵よ、国王の名においてそなた達が出した条件を認めよう」
グリーンローズ公爵家にとって自慢に娘であるヒルデガルトが、自分達ですら手を焼いている問題児の嫁(?)になってくれるかも知れないのだ。
まだ不安は拭えないが、それでも肩の荷が下りたからなのか、国王夫妻と王太子は胸を撫で下ろす。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「父上?母上?私の気のせいでしょうか?ガブリエルの女の子化が進んでいるように見えるのですが・・・?」
ヒルデガルトをエスコートするどころか、彼女にエスコートされている姿を目の当たりにしてしまったミカエルは、思わず顔を引き攣らせるしかなかった。
「ヒルダちゃ~ん♡今日も格好いいね♡まるで僕だけの王子様みたい♡」
「恐れ入ります。ガブリエル殿下」
そう言ったヒルデガルトはガブリエルに手を差し出す。
(((僕だけの王子様?いや、王子様はお前やん!!!)))
国王一家がガブリエルの台詞に対して心の中でツッコミを入れる。
婚約したのだから仲を深めた方がいいだろう。
そう考えた国王一家はヒルデガルトを王宮に招待し、身内だけのお茶会を楽しんだ。
その後、ガブリエルとヒルデガルトは庭園を散策している。そこまではいい。
この婚約はガブリエルを男らしくする為のものという一面がある。
その事を知っているヒルデガルトは男物の衣装を纏って王宮に来たのだ。そうする事でガブリエルの中にある男としての本能が目覚めると思ったから。
余談であるが、王宮の侍女達は男装した彼女を見て『ヒルデガルト様~♡』と瞳に♡を浮かべながら黄色い声を上げていたりする。
だが、ヒルデガルトの気遣いはガブリエルにとってマイナスに働いてしまった。
ガブリエルは、彼女を妃ではなく自分を護ってくれる王子様と認定してしまっただけではなく増々女の子として磨くようになってしまったのだ。
ヒルデガルトが男で、ガブリエルが女として生まれていたら何の問題もなかったんじゃね?と、国王一家が悶々と悩んでいる日々を送る中、兵士の一人から衝撃の事実が知らされる。
侍女と共に城下に出掛けていたガブリエルが山賊に攫われた──・・・。
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