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1話
しおりを挟む私、秋月 茉莉也は私立高校に通う十七歳の日本人である。
母と妹、クラスメイト達が2.5次元なイケメンアイドルに黄色い声を上げているのに対し、ボディービルダーや格闘家のように立派な筋肉をお持ちのムキムキマッチョに夢中になっている事を除けばどこにでも居るごく普通の女子高生・・・なんだけど、どうやら異世界に来ちゃったみたい。
何で異世界に来たのかが分かるのかというと、いつも見慣れている商店街がヨーロッパの宮殿のような部屋に変わっていたもの。
玉座に王様っぽい格好をしている小太りのおじさんと、派手に着飾っているおばさんが座っているから、今の私は謁見の間に居るという事でいいのかな?
しかも、〇ルばらとかで出てきそうなドレスに身を包んでいる赤髪縦ロールの女の子が王様の隣に立っているし!
赤髪縦ロールの女の子の名前はマチルダといい、アンタレス王国の王女にして聖女なのだとか。
その王女様が何で私を召喚したのかと言うと、聖女である自分に変わって世界を覆いつくそうとしている瘴気を浄化する役目を果たして欲しいと、無い胸を張って堂々と宣いやがったのよ!
貴女・・・王女なんだよね?
血税で贅沢する代わりに国の為に働くのが王族や貴族の務めではなかったっけ?
高貴なる者の義務という考えは日本人より海外・・・というか異世界の方が根付いているんじゃないの?
しかも何?
あたしのような美人がオーガ族と交わるのは国家にとって大きな損失だし、何より筋骨隆々で巨根のオーガ族の男は趣味じゃない?
あたしの好みは短小包茎で線の細いイケメンだから、役目とはいえオーガ族が取り込んだ瘴気を、連中とエッチして浄化するのは嫌?
でも、自国民にそれを押し付けるのは王族として心苦しいの。
だから、何の柵もない異世界から自分の身代わりとなる人間を召喚したですって!?
そっちの方が自国民を犠牲にしないでしょ?
異世界人を犠牲にする事で世界は救われて、アンタレス王国は平和になるという最善の方法ですもの♡
いやいやいや!
マチルダさん。あんたのやっている事って犯罪だから!!
再び無い胸を張って私を召喚した理由を主張した王女に
『王族だったら国の為に働け!』
『国の為に犠牲になりたくないのなら今すぐ王女という地位を捨てて平民として生きろ!』
と言った私は悪くない!!!
そう言い返した私に王女は顔を赤くしながらこう喚き散らしたの。
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