9 / 9
9話
しおりを挟む人の行き来が多くて暮らしに便利な都心部に建っているが故に狭くて賃料が高い店舗にするか・・・
都心部と比べたら不便なところもあるけど閑静な街に建っているが故に広くて賃料が安い店舗にするか・・・
悩んだ末に後者の店舗を選んだわ。
「サキさ~ん♪ありがとう~♪ご~ざ~い~ま~す~♪」
・・・・・・色々言いたい事はあったけど、契約した私はオープンに向けて準備を始めたの。
と言ってもマッサージをするのは手と足だけと決めているけど。
全身マッサージやフェイスマッサージをするかどうかは、これからの様子を見て判断しようと思うの。
種でベッドやインテリア等を栽培して実ったそれを非日常な空間を演出するように配置したり、何か足りないものがないかを確認したりしている内に遂に迎えたオープン日。
騎士団長様の話を聞いて実際にマッサージを受けた人の口コミ効果なのか分からないけど、私にとってはRPGでいうところの初めての町とでも言うべきアームズの町でオープンした時と違ってオープンしてから十分も経たないうちにお客さんが来たの。
腰にレイピアを下げている女性だけど軍服姿ではないから冒険者かな?
見た目と身体つきが1970~1980年代前半の少女漫画だから存在感が濃いけど・・・。
長旅で疲れているから手足をマッサージして欲しいと言ったので、それぞれ三十分ずつのコースでマッサージをやったの。
ハンドマッサージ、足裏マッサージは三十分で一シルバーという料金設定にしたから合計二シルバーね。
マッサージを受けた彼女は「身体だけではなく心も軽くなったみた~い♪」って歌いながら料金を払って店を出て行ったわ。
彼女の口コミのおかげでどこかの屋敷に仕えているメイドに金持ちの奥様、領主の奥様が来るようになったのだけど、その噂が王都まで広まったのでしょうね・・・。
遂に王妃様が私のマッサージを受けたいという事で王宮からの使いが店まで来たのよ!!!
いやいやいや!
王妃様のマッサージって王宮に仕えている侍女がやるのが普通でしょうが!
何で私のような一般ピープルがやらなきゃいけない訳!?
そんなのおかしいって!!
使いの人達に対して「一般人である自分が王族の肌に触れるのは恐れ多いから出来ない」という感じの事を言ったのだけど、「貴殿のマッサージの腕は確かだと公爵夫人のお墨付きがある」って言ったのよ。
庶民が王族の命令に逆らえないというものあるけど、本当は王妃様がどんな人なのかを見てみたかったのよね・・・。
王妃様は単に手足のマッサージをして欲しいだけなのか?
それとも美肌効果とかもあるマッサージをして欲しいのかも知れないと思った私は、自分が思いつく限りの化粧品をトートバッグに入れると使いの人達と一緒に王都へ向かったの。
今回の私は王妃様にマッサージを施すから王宮に入れたのだけど・・・普通に考えなくても庶民には縁のない場所よね。
で、王宮に入った私の前には王妃様が居たのだけど・・・何て言うか・・・・・・濃っ!
1970~1980年代前半の少女漫画みたいにウニの外殻のような睫毛にキラキラ瞳!!
しかも背景に薔薇や牡丹といった花とキラキラを背負っているし!!
大御所と呼ばれるような少女漫画家が描く漫画の世界に迷い込んだ気分になっていた私に、王妃様が手足だけではなく最近は日差しが強くて日焼けが気になるから美白効果があるマッサージもして欲しいと要望を言ったの。
店が休みの時はお肌のお手入れをしてスキルの効果を実感しているからね!
ここは気合を入れてマッサージしたわ!
想像以上の美白効果に王妃様は満足。
これが切っ掛けで月に一度、私は王妃様にマッサージを施すようになったの。
王妃様に気に入られたのはいいのだけど、王妃様お気に入りのマッサージ師という効果で客が押し寄せるものだから一気に忙しくなってしまったわ。
このままでは仕事が雑になってしまうと判断した私は店を畳んでファイティング王国とビューティー王国の国境にある暁月の森で暮らす事にしたの。
その時に店の経営方針を見直した事で今の私は自分のスキルを使ってスローライフを楽しんでいる・・・。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
36
この作品の感想を投稿する
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる