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8話

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 アームズの町を発つまでの間に私は道中で自分達が食べる料理を作ったの。

 ちなみに厨房は宿屋の主人夫婦に相談して借りたわ。

 宿屋側は本来そういう事をしないのだけど、長期で宿泊していたという事もあったから厨房を貸してくれたの。

 その代わり私の故郷の料理を教えて欲しいという条件付きだったけど・・・。

 料理を担当しているご主人に教えたのはハンバーグ・唐揚げ・シーフードフライ・天ぷら。

 私が教えた料理は後に宿屋の名物になるのだけど、それは置いといて・・・一日の殆どを厨房に籠っていたから作り終えた頃の私は完全に疲れ切っていたわ。

 その後、大衆浴場でゆっくりと湯船に浸かって疲れを癒した私は全身マッサージをしてから床に就いたの。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 暁の剣に護られながらビューティー王国に向かっている間にゴブリンとオークの集団に山賊に襲われたりしたけど、そこはベテランの冒険者である彼等。

 いとも簡単に倒しちゃったわ・・・。

 私の目の前にはモザイク処理をしないといけないR-18Gな光景が広がっているけど、そこは敢えてスルーとして・・・メンバーの一人である重装備の剣士ことランドルフさんがこう言ったの。

 「サキさんの料理を食べてからかな?何かこう・・・身体の調子がいいんだ」

 「そうそう。身体が軽くなったというか、疲労の回復が何時もより早いというか・・・そんな感じ」

 「それは気のせいだと思いますよ。皆さんは冒険者として鍛えていますから回復が早いのですよ」

 ランドルフさん達に対してそう言ったけど、こんなところでデトックス効果が発揮されるなんて夢にも思わなかったな~。

 「そうかな~?」

 「それよりも皆さん、私を護りつつ山賊を返り討ちにしたから疲れているのでは?手と足のマッサージをしましょうか?」

 「「「「お願いします!!!」」」」










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 そんな感じで旅をしていたら目的地であるビューティー王国に到着したの。

 「濃っ!何て言うか濃っ!」

 門番に身分証明書を見せて門を潜った私の瞳に映ったのは、1970~1980年代前半に連載された少女漫画に出てきそうなウニの外殻に似た睫毛にキラキラ瞳をしている人達が街を闊歩している姿だったの。

 騎士団長様が世紀末な漫画に出てきそうな人だから、1970~1980年代前半の少女漫画っぽい顔立ちと身体つきをしている人達が居ても不思議ではないのか・・・。

 暁の剣のメンバーと別れた後、エステを開く為の店舗があるかどうかの確認をする為に商業ギルドに入ったのだけど・・・そこの職員も受付嬢も1970~1980年代前半の少女漫画だったわ。

 受付嬢の濃い存在感に心が折れそうになったけど、自宅としても使える空き店舗があるかどうかを聞いたの。

 「サキさんが~♪仰るエステが何なのか~♪分かりませんが~♪条件に~♪当て嵌まる~♪空き店舗が幾つかございま~す♪」

 ビューティー王国ではミュージカルのように踊りながら話しかけるのが通常なのだろうか?と思ったけど、他の職員と受付嬢達は普通に対応していたわね。

 ・・・・・・ここは運が悪かったと思う事にした私は受付嬢が候補に挙げた空き店舗の見学をする事になったの。











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