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7話
しおりを挟む騎士団長様の一言がきっかけでハンドマッサージ店にお客さんが来るようになったの。
最初は手のマッサージだけだったのだけど、立ち仕事・座り仕事で足が怠かったり浮腫んでいる客からは足のマッサージをして欲しいという要望が出るようになったからフットマッサージも視野に入れた方がいいのかも?と思ったけど、考えてみたら露店で足のマッサージは止めた方がいいわよね~。
賃料は砂金以外の金属・・・例えば銀かプラチナ、宝石の種を栽培して実ったそれを売ればいいとして、問題は場所なのよ。
実はアームズの町って人の行き来があるから賑わっているけど、空き店舗がないからサロンを開けないのよね~。
「・・・・・・うん!決めた!ビューティー王国に行こう!」
ファイティング王国の隣にあるビューティー王国であれば、エステティシャンとして培ってきた私の技術を活かせるはずだし、空き店舗もあるはず!
・・・・・・多分。
単なる勘でしかないけど・・・。
商業ギルドに「ビューティー王国に行ってマッサージ店を開く」と言ったら、受付嬢だけではなく職員達が悲しそうな顔をしていたわね~。
「嘘だろ、おいっ!」
「サキさんのハンドマッサージを受けてから俺の腕が軽くなったんだぞ!」
「サキさんがアームズの町から居なくなるのは悲しいけれど、こればかりは仕方ありません・・・」
商人としてはこれが正しい在り方なのだと自分に言い聞かせた受付嬢は、ビューティー王国に行く為に護衛として冒険者を雇うように言ってくれたの。
但し、護衛依頼は神経を使うから依頼を引き受けてくれる冒険者が居るかどうか見当がつかないとも言っていたわね。
ちょっとした用事を済ませた後、受付嬢の言葉に従って冒険者ギルドに行った私は冒険者にビューティー王国までの護衛の依頼書を提出したの。
料金は護衛一人につき一日一ゴールドだったわ。
危険度がどれくらいなのか分からないけど護衛の依頼って目的地によっては日数がかかるし、依頼人の機嫌を損ねないように冒険者は神経を使わないといけないという実に地味な仕事だから人気があるかと言われたらそうではないみたい。
豪商であれば自前で護衛を用意出来るんじゃないかな?
さっきも言ったけど神経を使う護衛依頼は、そこそこの高ランク冒険者でないと引き受けてくれないと受付嬢が言っていたわね。
朝から夜まで護衛してくれる事を考えたら一日一ゴールドって妥当な金額かも知れないわ。
「サキさんの護衛は俺達が引き受けよう」
私の依頼を受けてくれると言ったのは何とあの暁の剣の人達だったの!
暁の剣は四人パーティー。
一日四ゴールドでアームズの町からビューティー王国までは徒歩で八日くらいから、三十二ゴールドを冒険者ギルドに払わないといけないのよね~。
無料で安全は買えないし、何と言っても私はまだ死にたくないもの!!
冒険者ギルドに立ち寄る前に種から実った宝石を商業ギルドに売り払って得た金で依頼料を支払ったわ。
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