なんやかんやで蘇っちゃったので異世界でアイドルになる事にしました

氷華

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第33話

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「お姫さん、荷物を、見ていてくれませんか?ドラムを取って来なければならないので」

「うん」

めでたく夏休みとなったわけだが、驚いた事に宿題が1つも出なかった。
これで安心して練習に打ち込めそうだ。

着替えを入れたキャリーケースを持って、ヒカルに見てもらったトレーニングウェアを着て、学園の校門前に来たのが10分前の事。
ドラムのカズヤは荷物が多いようで、何回かに分けて運んでいた。

「おっはよ~!姫ちゃん♡」

「おはよう、ヒカル」

「朝からベタベタするんじゃねぇよ」

「仲良いなぁ、ヒカルンとお姫様」

少し遅れて他の3人も到着したようで、背中に楽器ケースを背負っていた。

「んで?車はまだかよ」

「もうすぐ来るんじゃないの?てか、乗せてもらうんだからそんな失礼な言葉遣いはダメだからね!」

「わーかってるよ」

「お坊ちゃーん、はやくしろ~!」

「わかっていますよ!!」

最後の荷物を抱えたカズヤの到着と同時にクラクションが、聞こえてきた。

「あ、来たかな?、、、えっ」

現れたのは、この世界では超が付くほど高い黒塗りの高級外車だった。







〆◼️〆◼️〆◼️〆







「久し振りね、ユウ君」

助手席から降りてきたアヤさんは全然変わっていなかった。
フワァとした小動物みたいな感じが。

「お、久し振りです。アヤさん」

何とか言葉を出して挨拶する。
メンバーはポカンとしながら車を見つめていた。
とてもじゃないけど質問せずにはいられなくて、アヤさんに耳打ちした。

「、、、あの、アヤさん。この車は一体?」

「あぁ、記憶無いんだったね。コー監督からユウ君の10歳の誕生日プレゼントだよ」

「えっ」

「免許証なんて持ってないから、ハル君が預かってたんだよ。で、今回の合宿にこの車で行きなさいって連絡が来たんだって」

あのクソジジイ!
なんて事してんだ!

「取り敢えず、荷物は後ろのボンネットに置こう。みんなこっちおいで」

アヤさんがボンネットを開いて次々と荷物を中に詰めていく。
細くて小ちゃいのに力持ちなんだと思った。

「姫ちゃん、、、凄いね」

「本当に、相変わらずと言いますか、何と言いますか。規格外の方ですね、色々と」

荷物を乗せて、車の中に乗り込むと運転席からハルキさんが顔を見せた。

「おはようございます、ハルキさん」

「おはよう、ユウ君。元気にしていたかい?」

「おかげさまで」

「なら、いいよ」

「おい、真ん中にいるなよ。詰まってるだろ。とっととそこ座れ」

シュウゴが怒ったように2列目の運転席後ろの席を指差した。

「ごめん」

避けて席に座ると、後ろの3席にシュウゴ、ヒビキ、カズヤが座り、隣にヒカルが座った。

「終わったわよ」

「そうかい。じゃ、アヤも座って。出発しようじゃないか」







〆◼️〆◼️〆◼️〆







着くまで約2時間、車の中は騒がしかった。
ヒカルはハルキさんやアヤさんに僕(正確にはユキ)の子役時代の話を聞いてるし、後ろ3人はトランプをして盛り上がっていた。

騒がしいな。

『そう?いいと思うけどな、盛り上がり過ぎぐらいがちょうどいいよ』

そうか?よくわからないな。

『そっか、、、コー監督も相変わらずだね』

流石、世界の楓宮ってとこかな?
普通はこんな事しないでしょ。

『まぁ、そうだね』

ユキって本当に、コー監督から好かれてたんだね。

『好かれていたというか、期待されていたって言った方が正しいかな?』

期待?

『人の限界を見るのが好きなんだよ。役者の限界を作品の中に収めて、コー監督は作品を作る。だからさ、どんな無理難題でも少し教えて貰えば何だって出来た僕の限界を見たくて、、、期待して何度も共演したんだよ。多分ね』

そう。

『あれ?あんまり興味ない?』

いや、ユキはすごいって改めて思えたから。

『えへへ』

「姫ちゃーん、何か歌ってよ」

ヒカルがユキとの会話に入って来て、一気に現実に引き戻された。

「何を?」

「何でもいいよ」

「それが一番困る」

「えー」

「あと眠い」

「えー」

「だから、パス」

「えっ、ちょっと!」

「、、、、、、グゥ」

「寝たー!!!」

ほら、騒がしい。
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