39 / 61
第28話
しおりを挟む
スタジオは6階建てで2階から4ルームずつ入っていた。14ルームは5階にあってエレベーターでみんなと一緒に移動した。
「この移動がめんどくせぇんだよな」
ボソリとヒビキが愚痴ったのが聞こえた。
ルームは案外広く、壁の一面が鏡になっていてそれ以外は防音材になっていた。
楽器類も置いてあって、学生には嬉しいのかもしれない。
「楽器って、持ってないの?」
「んー、高いからね。そんなに多くの学生が持ってるわけではないよ。僕はボードだけど、性能とか音とかはどの機種でもそんなに変わらないから気にしてないんだけど、一応自分用にいじったやつは持ってる」
「いじった?」
「納得のいく音は自分で作らなきゃ意味がないんだよ。一から作るわけではないけど、中をいじって自分好みの音を出せるように調整してオリジナルを作るんだよ」
「使わないの?」
「いつ何処に、敵になるチームがいるかわからないからね。練習はみんな、自分のは使わないんだよ。もちろん学園でもね」
「全員持ってるんだ」
「そうだよ。カズヤのドラムは大きいし持ち運びがそもそも大変だし、シュウゴとヒビキは僕と同じ理由」
ルームにあるボードを手にとって、鍵盤を押しながらコードの調節をし始めたヒカルはとても真剣な目をしていた。
「このスタジオはね、ルームの大きさとか配置とかはどこも同じなんだ。置いてある楽器もだけどね。だから何処で練習しても変わらない。有難いよね。しかも完璧な防音。曲を聴かれることもない」
「ふーん」
「あれ、姫ちゃんもしかして興味ない?」
「うん、まぁ、歌えればどこでもいいから」
「あー、屋上で歌うくらいだしね」
「くらいって何?」
「う、怒んないでよ」
なんか、ヒカルとは話しやすいな。
1日過ごしたからか?
「チッ、くっちゃべるのいい加減にしろよ」
「ごめん、シュウゴ」
「おい歌姫」
何故か機嫌の悪いシュウゴは怖い顔をして睨んでくる。
何か悪いことしたかな。
「何?」
「歌詞付け、お前がやったんだろ」
「、、、ヒカルとカズヤのを手伝っただけ」
「ほとんどお前が考えたって聞いてるぞ」
「それが?何?」
「聞かせろ」
〆◼️〆◼️〆◼️〆
横暴だな。
歌う気失せる。
「聞いてんのか?」
「うん」
「早く歌え」
「そんな言い方する君に歌う気なんか湧かないんだけど、どうすればいいかな?ヒカル」
本気で困ったからヒカルに声をかけると、ヒカルは嬉しそうに笑った。
「じゃあさ、僕と歌う?」
「ヒカルと?」
「うん。僕、一応ボードしながら歌ってるからハモれるよ」
ハモりか、、、。
した事ないな。
やってみるかな。
「ハモってみて」
「うんOK。ところで高く歌う?低く歌う?」
「ヒカルはどのくらい出る?」
「アルトの少し低めまでかな。それ以上、低いのは出ない。これでも声変わりはしてるんだけどね」
「低音でハモって、サビで少し上げて」
「少しってどのくらい?」
「♩~、くらい」
「♫~♩~って上がるのでいい?」
「上出来」
「ボードはいる?」
「いらない、アカペラ」
「OK」
呼吸を合わせて、目を見あって。
「「せーの」」
「この移動がめんどくせぇんだよな」
ボソリとヒビキが愚痴ったのが聞こえた。
ルームは案外広く、壁の一面が鏡になっていてそれ以外は防音材になっていた。
楽器類も置いてあって、学生には嬉しいのかもしれない。
「楽器って、持ってないの?」
「んー、高いからね。そんなに多くの学生が持ってるわけではないよ。僕はボードだけど、性能とか音とかはどの機種でもそんなに変わらないから気にしてないんだけど、一応自分用にいじったやつは持ってる」
「いじった?」
「納得のいく音は自分で作らなきゃ意味がないんだよ。一から作るわけではないけど、中をいじって自分好みの音を出せるように調整してオリジナルを作るんだよ」
「使わないの?」
「いつ何処に、敵になるチームがいるかわからないからね。練習はみんな、自分のは使わないんだよ。もちろん学園でもね」
「全員持ってるんだ」
「そうだよ。カズヤのドラムは大きいし持ち運びがそもそも大変だし、シュウゴとヒビキは僕と同じ理由」
ルームにあるボードを手にとって、鍵盤を押しながらコードの調節をし始めたヒカルはとても真剣な目をしていた。
「このスタジオはね、ルームの大きさとか配置とかはどこも同じなんだ。置いてある楽器もだけどね。だから何処で練習しても変わらない。有難いよね。しかも完璧な防音。曲を聴かれることもない」
「ふーん」
「あれ、姫ちゃんもしかして興味ない?」
「うん、まぁ、歌えればどこでもいいから」
「あー、屋上で歌うくらいだしね」
「くらいって何?」
「う、怒んないでよ」
なんか、ヒカルとは話しやすいな。
1日過ごしたからか?
「チッ、くっちゃべるのいい加減にしろよ」
「ごめん、シュウゴ」
「おい歌姫」
何故か機嫌の悪いシュウゴは怖い顔をして睨んでくる。
何か悪いことしたかな。
「何?」
「歌詞付け、お前がやったんだろ」
「、、、ヒカルとカズヤのを手伝っただけ」
「ほとんどお前が考えたって聞いてるぞ」
「それが?何?」
「聞かせろ」
〆◼️〆◼️〆◼️〆
横暴だな。
歌う気失せる。
「聞いてんのか?」
「うん」
「早く歌え」
「そんな言い方する君に歌う気なんか湧かないんだけど、どうすればいいかな?ヒカル」
本気で困ったからヒカルに声をかけると、ヒカルは嬉しそうに笑った。
「じゃあさ、僕と歌う?」
「ヒカルと?」
「うん。僕、一応ボードしながら歌ってるからハモれるよ」
ハモりか、、、。
した事ないな。
やってみるかな。
「ハモってみて」
「うんOK。ところで高く歌う?低く歌う?」
「ヒカルはどのくらい出る?」
「アルトの少し低めまでかな。それ以上、低いのは出ない。これでも声変わりはしてるんだけどね」
「低音でハモって、サビで少し上げて」
「少しってどのくらい?」
「♩~、くらい」
「♫~♩~って上がるのでいい?」
「上出来」
「ボードはいる?」
「いらない、アカペラ」
「OK」
呼吸を合わせて、目を見あって。
「「せーの」」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
従妹と親密な婚約者に、私は厳しく対処します。
みみぢあん
恋愛
ミレイユの婚約者、オルドリッジ子爵家の長男クレマンは、子供の頃から仲の良い妹のような従妹パトリシアを優先する。 婚約者のミレイユよりもクレマンが従妹を優先するため、学園内でクレマンと従妹の浮気疑惑がうわさになる。
――だが、クレマンが従妹を優先するのは、人には言えない複雑な事情があるからだ。
それを知ったミレイユは婚約破棄するべきか?、婚約を継続するべきか?、悩み続けてミレイユが出した結論は……
※ざまぁ系のお話ではありません。ご注意を😓 まぎらわしくてすみません。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる