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第20話

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「おや、随分と変わったね」

流石に生徒登校時間にこの格好で行く勇気はなかったので、2時間ほど時間をずらして登校した。
その後、そのまま理事長室に申込書を提出する為に行ったのだが扉を開けるなり、そう言われた。

「まぁ、色々、ありまして」

「ほう」

「それで、この格好に」

「似合ってるよ。前より全然いいよ」

「それは、どうも」

「自分でやったのかい?」

「やるとお思いですか?」

「いや、、、よく無断で屋上に来る生徒にやられたのかな?」

「そうです。正確にはその生徒の所属するチームにやられました」

「そうかい。まあ、座りたまえ。美味しい饅頭が手に入ったから食べようじゃないか」

いつもの位置に座り、出てきた饅頭とお茶を飲みながらコー監督と話す。

「コー監督、これを」

「、、、チーム申込書だね。という事は、この格好にしたチームに入るってことかい?」

「ええ、まあ」

「今までの君からは考えられないことだね」

「入らなきゃ、入るまでスカウトし続ける、と言われたので」

「フハハ、中々だね、その生徒も。面白いじゃないか。うんうん、良いね」

ニヤニヤしながらコー監督は笑った。

「私は君を応援するよ、今も昔も変わらずにね」

「、、、それはどうも」




〆■〆■〆■〆




手続きも済んだのでいつものように屋上で音楽を聴く。
青いヘッドホンから両耳に流れ込んでくる音に浸るが、何故か前のようには歌いたい気持ちにはならなかった。

「、、、なんでだ?」

曲を変えても、歌いたいと思う事はなくて。
ただただ、音が淡々と耳から身体に響くだけ。

「はぁ、クッソ」

ヘッドホンを肩にずらしてそのまま寝転がる。

目の前には青い空が広がっていて、大きな白い雲の上を黒い影が横切る。

「何の鳥なのかな」

横切った黒い影の広げた翼は飛ぶためにある。
なんのために飛ぶのかは、その鳥によって違う。

「金の羽根を持つ、黒いフクロウは、、、」

どこに向かっているのだろうか。




〆■〆■〆■〆




『ヤッホー♡姫ちゃん♡』

その夜、再びヒカルからかかってきた電話にうんざりしながら出た。

「何?」

『今日、なんで練習来なかったの?』

「今日、練習、あった、の?」

『あ、そっか。いつ練習してるか、つたえてなかったね』

ごめんねぇ~、と電話の向こう側から聞こえてくる。

『練習は週に2回。月曜と金曜の放課後開始から最終下校時間まで。土日は学園近くのスタジオを借りて練習してるよ』

「、、、意外と、学校、少ないね、使える時間」

『まぁ、みんなでお金出し合ってるからね』

「有料なの?」

『スタジオはね。学校は練習場所は沢山あるからどうにかなるけど、それでも1チーム週2が限界なんだ。だから、それ以外はみんなバイトしてスタジオ使ってるんだ』

意外だな。
あれだけの技術があるならもっと練習してるのかと思ってた。
少ない練習で、あれだけの演奏。
それはそれで、すごいけどな。

「ふーん」

『あ、全然興味なさそう』

「、、、次は金曜」

『そうなるね』

「わかった、お休み」

『えっ、ちょっとまっー』

あ、なんか今日はゆっくり眠れそう。
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