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第16話

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梅雨時期も終わりに差し掛かった頃、コー監督が撮影から帰って来た。

、、、大量のお土産とともに。

「今日の紅茶はイギリスの物だよ」

ニコニコしながらお茶を飲むコー監督は向かえに座る僕に言ってきた。

ここでいきなりだが、国名について説明しておこう。
国名は地球と何ら変わりない。
ただ、国名は変わらなくても市町村の名は全く別物だ。
ちなみに、世界地図を見ると大陸の形は市町村同様全く違う。

「、、、美味しいですね」

「イギリスは紅茶で有名だからね」

お土産のクッキーを摘みながら、コー監督の話を聞いていく。
観光地とか料理とかそんな話。

「そういえば、屋上の件は私がいなかった間大丈夫だったかい?」

「えっ、まぁ、もう諦めました」

「おや」

頻繁に鍵を変えられるわけではないから。それにしつこいけど無視してたらもう慣れた。

「もう、反抗するのもめんどくさくてどうでもいいかなって」

「、、、相変わらずだね」

苦笑いを浮かべたコー監督とはその後もイギリスの話をして、紙袋2個分のお土産をもらい、御開きとなった。




〆◼️〆◼️〆◼️〆




「やっぱ、美味しい」

家に帰って、1人黙々と貰ったクッキーを紅茶と一緒に食べる。

『いいなぁ』

ユキは不満そうな声を漏らした。

ユキって味は感じられないの?

『感じられるよ。でもさ、ちゃんと噛んで食べたいじゃん』

たしかにね。

『だから羨ましくて』

、、、前から思ってたんだけどさ。

『うん』

入れ替わりって出来ないのかな?

その言葉にユキは黙ってしまった。
考え込むような息遣いが頭に響く。

『、、、出来ないわけではないと思うけど、やり方がわからない。それに入れ替われたとしても、こうやって話してる時より力を使うと思うから急にブチッと元に戻る危険の方が大きい』

それは危険だね、、、。
入れ替わりはまたの機会に。

『そうだね。でもなんで聞いてきたの?なんかあった?』

ん?ああ、ユキが自分で食べたいのかなって思って。

『、、、イチ兄って本当にイチ兄だよね』

それ、どういう意味?

『弟思いのお兄ちゃんって事。てか、ありがと。でもこの生活結構気に入ってるから心配しなくていいよ』

なら良いけど、、、。

『心配しなくていいって言ったしょ』

うん、分かったよ。
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