なんやかんやで蘇っちゃったので異世界でアイドルになる事にしました

氷華

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第15話

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その日の午後。
急に強い雨が降り始めた。

今日は1日晴れる予定じゃなかったのかよ!

『まぁ、天気予報はあくまで予報だからね』

そんな天気じゃ屋上に居られるはずもなく、校内へと入る。
パーカーは雨を吸収して、重くなっていた。

「、、、最悪」

脱ぐ気にもなれず、ぼんやりと屋上へ続く階段に座り込む。

ポタポタと、フードと髪から水滴が床めがけて滴り落ちた。

「雨は空の涙、か」

ポツリと、呟いた。

空の涙の音は、複雑で、だけど単純でいい音楽だ。
ヘッドホンを首にかけ、雨の音に浸っていると、

「ヒッ!」

突然、誰かの声が響いた。
目を向けると、学生が1人、こちらを向いて震えていた。

「あ、あああ、屋上の、、、」

雨の音で気分良かったのに。
、、、うるせぇ。

『あー、また口調壊れた』

やっぱり、屋上が一番だ。
誰にも邪魔されない。

立ち上がれば、学生はビクリと身体を震わせた。
そんな事には興味がなくて、未だ雨が降り続ける屋上への扉に手をかける。

『イチ兄、風邪引くよ』

いいよ、風邪引いて。
学校来なくて済む。

「あ、あ、あああっ」

ああ、本当にうるさい。

『うるさいね』

ぐるりと首だけを曲げて、震える学生に言った。

「『うるさい』」

ピカッと雷が鳴り、僕の顔を一瞬照らした。

「ヒ、ヒィー!!!!」

慌てて逃げ出す学生。
それにすら呆れて、屋上へと出る。

冷たい雨が身体に当たる。

「雨は空の涙」

その言葉は雨に消されて、僕自身にも聞こえなかった。




〆◼️〆◼️〆◼️〆




「ゴホッ!ゴホォ!」

まあ、見事に風邪をひきました。

『あーあー、だから言ったのに』

うるさい、ユキ。

『、、、ごめん』

あ、いや、本気で怒ったわけじゃ。

『うん、わかってる。でもイチ兄、早く治してね』

え?

『なんかイチ兄が体調を崩すと、喋ってられる時間短くなるみたい』

それはこっちがごめんなさいだね。

『だから、すごく眠たくて』

眠っていいよ。
どうせ寝なきゃ治らないし、僕も寝るから。

『う、、、ん。お休み』

お休み、ユキ。

さて学校には行きたくないけど、ユキと話せる時間が短くなるのは嫌だから僕もしっかり治そう。
そしていつものようにユキと沢山のことを話そう。

そう心に決めて僕は眠りについた。
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