【館】 House of Sex Slaves

episode U . ジュンの場合 / ビデオ・スレイブ

June 002. 満月の夜の実験室

25:45

眠らぬ都会の夜は漆黒とは程遠い。
今日は、月明かりも煌々としており、尚明るい夜だ。

その都会に佇む、「館」。
何時もなら、警備係りの職員が持つ懐中電灯から放たれるサーチライトが時折窓に反射するだけで、
静かに暗く閉ざされているが、
今日は、満月。
満月の日は、館に閉館は無く、幾つもの窓に灯りが見えている。

えんじ色のカーペットが敷かれた廊下を、人々が行き来している。
それは、Master のエンブレムを腕で光らせている調教師だったり、職員に連れて行かれる肉便器だったり、夜型人間なせいで普段館で遊べぬ旦那さまであったり、終電を逃して館で過ごそうと訪れた旦那さまであったり、様々な人々だ。

その廊下に面した、焦げ茶色の重厚な扉がひとつ、全開に放たれ、その奥然程広くない部屋から漏れる光と音が、
廊下のえんじ色のカーペットとアイボリーの壁紙にじゅんわりと染み込んでいた。

開け放たれた焦げ茶色の扉には、プラスチックのプレートがかけられている。
プレートには、マジックインキで
Laboratory (実験室)
と、書かれている。