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第一章
二十八話 怪しげな影、考えるべきこと
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〈???〉
「ふう、これで掃除は済みましたか」
空き教室で男の教師はあたりを見回す。そこには、絶対に一校舎に並べられるはずのない物品が多く陳列している。一通り確認が終わり、ニヤリと笑みを浮かべる男の教師は先程の教頭に対する態度とは嘘のように異なる。
敢えて言うなら、待望。
彼は今から起こりうる出来事が待ちきれない様子だった。
「彼女にやれる事だけはした、後は放置で構わないでしょう。彼らは篠崎紬希に近づくはず。物語は……明日変化する」
彼はそう呟きながら、一枚の書類を取り出した。歴史的副産物とも取れる紙に綴られる内容、、、
『警察とはひそかに相手の事情、もしくは事件の関係性を調べる事を生業にする人間を指す。世界に類を見ない天才、または身体能力が極端に優れている逸材と言うわけではなく、持ち前の経験を武器に事件を推理する傾向にある。
だが警察では、二十年前の惨劇を対処できなかった。
ある者は、人体の構造上あり得ないスピードで走ることができ、別の者は、一トンの物体を有に持ち上げられた。そしてある人間がそれを束ね支配していた。
彼らは、異能力者だった。
誰もが投げ出し、誰もが逃げた。奴らには敵わない、推測ではなく事実だった。
奴らはおよそ一ヶ月間人々を恐怖に陥らせ……………………………死んだ。
いや、正確には奴らのリーダーが同じ異能力者に殺されたことにより統一感がなくなり、勝手に自滅していったのだ。
小さな戦争を終わらせた一人の異能力者とその仲間たちは、やがて各国政府の警察官として新たなに部署が作られた。
特殊能力取り締まり執行部署。それが彼らの新しい住処だった。
一般とは異なる秘密主義を徹底したポストで、日本では僅か五十二名。
通常の警察には対処不可能だった依頼を解決することが主な仕事だが、それよりも重大な役割を任されているが、詳しい実態は明らかになっていない』
「私が聞いた内容はこのうちの一割にも満たない。常勤の生徒持ちの教師でも信用できてないんですね、教頭先生。ま、多分学会で明かす情報はごく僅かだったでしょうが」
喋り終わると、彼はライターを取り出し、書類に火を灯す。
「あの方が覚醒するまでは、事実が闇のうちに紛れることを。この計画はその第一歩なのですから」
・・・
屋上での不思議な出来事の後、俺は篠崎さんを家まで送り届けて家に帰宅した。屋上に現れた変質者、あの存在には理屈が通用しない感じがプンプン漂っている。
どういう原理が働いてるか知らないが、常人ではあり得ない動きをしていたのだ。 加えて最後の七色の光。人ができる範疇を超えている。
「何が、どうなってる?」
あの場に居た篠崎さんが渡されたタロットカード。
「そんな得体のしれない物体、受け取るんじゃねえよ」と忠告したが、言われた通り彼女はカードを持ち帰ってしまった。もしかすれば、あのじじいには人を信じ込ませる特殊な力でも仕込まれているかもしれない。
色んな事が起きすぎて単に疲れてるだけかもしれないが。
俺は疲れを取るため風呂に入り、自分の部屋に戻るとどこか安心したのか体が倒れかける。「っと!」片手で壁を伝いながらベッドに向かってダイビング。足をくじきかけたがどうにかなりそうだ。
―――にしてもよかった、助けられて。
屋上の出来事は一旦置いておこう。胸を撫で下ろしながら今日の出来事を振り返り、同時に憤りを増してきた。
無論、ナガッチにだ。あいつの目的がわからない以上、このままの体制でいくしかない。
そう考えるとかなりめんどくさそうだ。
ここで、篠崎さんを探しにいくために雲斎にナガッチの相手をしてもらっていた事に気づいた俺は重い腰を上げ、床に投げ捨てたズボンから携帯を取り出して画面をオンにした。通知は来てないことから何かあったとは思えない。まさかこの時間になっても難事は続いているのか? 憂心を感じたながら電話を掛ける。
ツーツー。
3コール、6コール鳴っても応じはない。おかしい、寝る時間には程遠いはずなのに。一時間、二時間して再びコールするも、ぴたりとも出る様子はなくメールは未既読のまま。あっちも何か苦悶するような事件に巻き込まれたのかもしれない。三度目の電話が終わり、いよいよ諦めのムードが漂う。そうこうしてるうちに、篠崎さんからメッセージが入った。
『明日についてなんだけど、体の調子が悪いから学校は休むつもり。心も落ちかないから結構長い休みを取るけど、気にせず二人は学校に行って』
グループに送られた言葉には中々の重みがあった。篠崎さん自身も乗り越えられてないのだろう、俺でさえ頭がぐちゃぐちゃして落ちかない。彼女は泣くまでしたのだから、心身共にかなりのクリーンヒットを当てられている。このメーセージが1番の妥協案に思えた。
これからは、篠崎さんのお面撤回とナガッチの対処の仕方を見直していく。雲斎の様子は気になるし何にせよ、差し当たって明日に備えて早く寝るのが聡明な見解だった。
「ふう、これで掃除は済みましたか」
空き教室で男の教師はあたりを見回す。そこには、絶対に一校舎に並べられるはずのない物品が多く陳列している。一通り確認が終わり、ニヤリと笑みを浮かべる男の教師は先程の教頭に対する態度とは嘘のように異なる。
敢えて言うなら、待望。
彼は今から起こりうる出来事が待ちきれない様子だった。
「彼女にやれる事だけはした、後は放置で構わないでしょう。彼らは篠崎紬希に近づくはず。物語は……明日変化する」
彼はそう呟きながら、一枚の書類を取り出した。歴史的副産物とも取れる紙に綴られる内容、、、
『警察とはひそかに相手の事情、もしくは事件の関係性を調べる事を生業にする人間を指す。世界に類を見ない天才、または身体能力が極端に優れている逸材と言うわけではなく、持ち前の経験を武器に事件を推理する傾向にある。
だが警察では、二十年前の惨劇を対処できなかった。
ある者は、人体の構造上あり得ないスピードで走ることができ、別の者は、一トンの物体を有に持ち上げられた。そしてある人間がそれを束ね支配していた。
彼らは、異能力者だった。
誰もが投げ出し、誰もが逃げた。奴らには敵わない、推測ではなく事実だった。
奴らはおよそ一ヶ月間人々を恐怖に陥らせ……………………………死んだ。
いや、正確には奴らのリーダーが同じ異能力者に殺されたことにより統一感がなくなり、勝手に自滅していったのだ。
小さな戦争を終わらせた一人の異能力者とその仲間たちは、やがて各国政府の警察官として新たなに部署が作られた。
特殊能力取り締まり執行部署。それが彼らの新しい住処だった。
一般とは異なる秘密主義を徹底したポストで、日本では僅か五十二名。
通常の警察には対処不可能だった依頼を解決することが主な仕事だが、それよりも重大な役割を任されているが、詳しい実態は明らかになっていない』
「私が聞いた内容はこのうちの一割にも満たない。常勤の生徒持ちの教師でも信用できてないんですね、教頭先生。ま、多分学会で明かす情報はごく僅かだったでしょうが」
喋り終わると、彼はライターを取り出し、書類に火を灯す。
「あの方が覚醒するまでは、事実が闇のうちに紛れることを。この計画はその第一歩なのですから」
・・・
屋上での不思議な出来事の後、俺は篠崎さんを家まで送り届けて家に帰宅した。屋上に現れた変質者、あの存在には理屈が通用しない感じがプンプン漂っている。
どういう原理が働いてるか知らないが、常人ではあり得ない動きをしていたのだ。 加えて最後の七色の光。人ができる範疇を超えている。
「何が、どうなってる?」
あの場に居た篠崎さんが渡されたタロットカード。
「そんな得体のしれない物体、受け取るんじゃねえよ」と忠告したが、言われた通り彼女はカードを持ち帰ってしまった。もしかすれば、あのじじいには人を信じ込ませる特殊な力でも仕込まれているかもしれない。
色んな事が起きすぎて単に疲れてるだけかもしれないが。
俺は疲れを取るため風呂に入り、自分の部屋に戻るとどこか安心したのか体が倒れかける。「っと!」片手で壁を伝いながらベッドに向かってダイビング。足をくじきかけたがどうにかなりそうだ。
―――にしてもよかった、助けられて。
屋上の出来事は一旦置いておこう。胸を撫で下ろしながら今日の出来事を振り返り、同時に憤りを増してきた。
無論、ナガッチにだ。あいつの目的がわからない以上、このままの体制でいくしかない。
そう考えるとかなりめんどくさそうだ。
ここで、篠崎さんを探しにいくために雲斎にナガッチの相手をしてもらっていた事に気づいた俺は重い腰を上げ、床に投げ捨てたズボンから携帯を取り出して画面をオンにした。通知は来てないことから何かあったとは思えない。まさかこの時間になっても難事は続いているのか? 憂心を感じたながら電話を掛ける。
ツーツー。
3コール、6コール鳴っても応じはない。おかしい、寝る時間には程遠いはずなのに。一時間、二時間して再びコールするも、ぴたりとも出る様子はなくメールは未既読のまま。あっちも何か苦悶するような事件に巻き込まれたのかもしれない。三度目の電話が終わり、いよいよ諦めのムードが漂う。そうこうしてるうちに、篠崎さんからメッセージが入った。
『明日についてなんだけど、体の調子が悪いから学校は休むつもり。心も落ちかないから結構長い休みを取るけど、気にせず二人は学校に行って』
グループに送られた言葉には中々の重みがあった。篠崎さん自身も乗り越えられてないのだろう、俺でさえ頭がぐちゃぐちゃして落ちかない。彼女は泣くまでしたのだから、心身共にかなりのクリーンヒットを当てられている。このメーセージが1番の妥協案に思えた。
これからは、篠崎さんのお面撤回とナガッチの対処の仕方を見直していく。雲斎の様子は気になるし何にせよ、差し当たって明日に備えて早く寝るのが聡明な見解だった。
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