16 / 51
第一章
十六話 ギャップ
しおりを挟むすいません。少し補足させて頂くと、前回の十五話の会話は十四話より以前にあった出来事です。説明が至らず申し訳ございませんでした。
_____________________________________
今の時代、連絡先交換でテンパる人間はどこにも存在しない。そんな化石と化した剥製は、スマートフォンのラ○ンという概念に葬られてしまった。
そのため世の男子は、クラスラインに登録された女子の名前を自分で追加するだけで事なきを得るのである。
中には、追加するまでに一悶着ある学生も居るには居るらしいが、そんなうぶなラノベ主人公が現れた話は耳にしてないので特段追認しなくていいのだろう。
さて、何故そのような講話をしたかと言えば、昨日の放課後に繋がってくる。
「篠崎さんと西岡が知り合ったのは保健室で間違いのよね」
場所を強調して繰り返す彼女に、俺と篠崎は誤解を解くべく真剣に言葉を発する。
「別に対したことじゃないよ。単に西岡君が倒れちゃって現場に居合わせた私が付き添いで連れてっただけ」
「そうそう、普通のことだから。むしろ場所なんかより約束の方が大事だし」
「……本当に何もなかったー?」
「「何もない!」」
俺と篠崎が声量を上げて否定すると、ようやく雲斎は納得したのか表情を緩ませた。
そこから暫く目の前で話し合う二人に耳を澄ます。彼女たちの話題は俺抜きで、いつの間にか話を終わりの切れ端へと踏みしめさせていた。
「ならこれでいいね」
「ええ。西岡もこれで大丈夫かしら」
「へ?」
知らぬ間に話が進んでいく二人に俺は完全に置いてかれる。ジト目でこちらを見つめる二人に少し謝って何が決まったのか問いただしたところ、この後三人のグルーブラ○ン、いわば三人だけで会話できる交流場所みたいなのを作ってそこで交流場所を作っていくということが決まったらしい。
初めて話した二人がすっごく意気投合してることには突っ込まないようにした。そんなこんなで俺たちは帰宅し、現在の家でダベっている現状に行き着くことになる。
現時刻は二十時。携帯のラ○ンの画面を見ると、既に俺と篠崎と雲斎のグループが存在していた。
―――何気に激動な一日だった。っていうか女子とラインで話すなんて、割とレアかもなあ。
過去に想いを馳せながらベッドの上に寝転がる。毎度思うが、この体勢で動画を見るとか結構悪い行為だと感じつつも、暇な時流れるように見てしまうあたりもうダメかもしれない。
ピロン!
「お、通知」
普段と違ってお知らせをオンにしていたので、一瞬で気付く。日常的に報告されるとイラつき以外の何者でもないが、こう言うときの恩恵はありがたみに他ならなかった。
『そろそろ初めてもいいよね?(^。^)』
「って雲斎かよ!?」
彼女から言ってくるのはなんとなく察しがついていた。だからってこんな可愛らしいメッセージが送られるとはどこの地球人が想像できるだろうか。
―――俗にいうギャップ萌え。まさかこんな身近にいるかよ。
ピロン!
二度目の通知。大方、篠崎さんが返したのだろう。
『お構いなく』
「冷めてるわあー」
一体全体、人との付き合い方がわからないと助けを求めた人間に思えない。知らない人からしたらギャップ萌えではなくただの冷たい奴とキャラ作っている奴で捉えてしまうかも。
「まあいい。とりあえず、返信をするか」
手先をプラスチック製の画面に触れさせ、トークルームを開く。グループ名が「非リア」となっていることに若干の苛つきを覚えつつも、俺は三人目の参加者として文章を送った。
*****
〈篠崎と雲斎〉
ピロン!
「「ん?」」
『はい。どうぞよろしくお願いします』
自分の後から来た三人目の返信。
お互い違う場所にいるはずなのに、二人の女子は同じ感想を持ち合わせていた。
「「めっちゃ敬語」」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
おれは忍者の子孫
メバ
ファンタジー
鈴木 重清(しげきよ)は中学に入学し、ひょんなことから社会科研究部の説明会に、親友の聡太(そうた)とともに参加することに。
しかし社会科研究部とは世を忍ぶ仮の姿。そこは、忍者を養成する忍者部だった!
勢いで忍者部に入部した重清は忍者だけが使える力、忍力で黒猫のプレッソを具現化し、晴れて忍者に。
しかし正式な忍者部入部のための試験に挑む重清は、同じく忍者部に入部した同級生達が次々に試験をクリアしていくなか、1人出遅れていた。
思い悩む重清は、祖母の元を訪れ、そこで自身が忍者の子孫であるという事実と、祖母と試験中に他界した祖父も忍者であったことを聞かされる。
忍者の血を引く重清は、無事正式に忍者となることがでにるのか。そして彼は何を目指し、どう成長していくのか!?
これは忍者の血を引く普通の少年が、ドタバタ過ごしながらも少しずつ成長していく物語。
初投稿のため、たくさんの突っ込みどころがあるかと思いますが、生暖かい目で見ていただけると幸いです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる